(七) Last
晴れた空では、どこまでも青い空があり、そこに一つ二つ…と流れる白い雲。
やがて日が暮れるにつれ、赤く染まりゆく全てのもの。
雨の空では、濃淡の激しい灰色の雨ー白なのか銀なのか、
はたまた緑…色のあるようなそれでいてないような、絹糸の如き雨。
そして何より興味をひいたのは、雨が滲み行く大地。
この世の全てを受け入れ、拒否することのない大地。
しだいに全てを飲み込んで、その痕跡すら残さない。
突如、何の前触れもなくー江戸幕府の前にその威厳を見せつけた黒船のドンの如くに、
地獄の断末魔と雄々しき神々等の歓喜声との交錯する悲鳴が上がった。
一瞬間、全てが止まった、凍り付いた。
時の流れでさえ止まった。
四方を壁で閉ざされた世界から、全てが青空の下に移された。
見渡すところには何もなくーまた何かが欲しいと思えばそこにあるような気もする。
そんな世界に移された。
その世界は、一方では貴く気高い紫の世界であり、
また一方では人間の持つ主我的という業火の世界であった。
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夕刊の三面の片隅に小さく書き込まれているこの記事には、誰一人として感慨を持たなかった。
[幼少の頃に患った小児麻痺により脳に疾患が残った△△は、
発作的な凶暴性が強いため、××山の中腹にある病院で治療中だったが、
今早朝に看護婦が食事を運んだ直後に、鉄格子の窓から飛び降り自殺を試み、そのまま即死した。
なお、警察当局は、担当看護婦からの証言について、一切発表していない]