[蒼い情愛]~ブルー・はんたぁ~ (六) | toshichanのブログ

toshichanのブログ

【遅れてきた新人】の、内山敏洋 と申します。 蔵の中に溢れかえっている作品や頭の中に湧き出てくる作品を“どんどんと!”と、考えております。

寝苦しい夜が明けた朝、母が、俺の記憶から消え去っていた。
そしてその日から、母に対して怨嗟の念を抱いた。


「親としての責務を果たせよ!」
「ごめんね、ごめんね。」


時折かかってくる詫びの電話。
嗚咽と共に繰り返される、詫びの言葉。


しかし日が経つにつれて、単なる雑音となった。

何の感慨も湧かず、何の感情も入ってこなくなった。

そしてそれは、決して自暴自棄の心では、ない筈だ。
と、思った。
━━━━━━・━━━━━━

(六)


死刑囚は独り冷たいベッドに横たわり、仲間から取り上げた煙草をくゆらせた。


少しずつ窓から夜の帳が、闇が入り込んできた。


気持ちの高ぶりが少しずつ収まる。


闇の広がりとともに僧侶がしきりに唱える、安心の世界に入り込んでいく、と考える死刑囚。


しかしそんな死刑囚の心の営みは、結局のところ徒労に終わる。


死という現実の壁は、容赦なく死刑囚を追い込んでいく。


しかし又、どうして俺はあの二人を殺したんだ? 実際は、俺にも分からない。