少し、暗いお話です。
昭和の御代、何年ぐらいでしょうか…
高度経済成長時代の終わり頃…ということに、してください。
筆者の、自伝的要素の入った作品です。
といっても、内容の全てが筆者のそれとは限りませんので、解のなきように。
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[哀しい事実] 二
しかし、ラジオからの押しつけのレコード曲。
それにも増して、独りよがりのDJの語りに反発を感じるらしい。
聞きたい楽曲を聞きたい時に聞くという自由がいかに大事かと、私に陶々と語る。
一理あると、思える。
が、それでは視野が狭くなると思うのだが。
それを告げれば、延々と屁理屈を並べられるのが落ちだ。
だから、頷くだけにしている。
言葉で肯定はしない。
私には私の理屈がある。
だから、卑怯かもしれないが言葉にしない。
彼のステレオは高価なものである。
廉価な物もあるにはあったのだが、生涯唯一の贅沢として購入した。
理由は、至ってシンプルだ。
良い音で聞きたい、ということだ。
もっとも、彼の耳がどれ程のものかは疑問だが。
支払いは、月賦である。
販売店は、しつこい程にクレジットの利用を勧めた。
だが、彼は月賦を押し通した。
販売店員は集金の手間を切々と訴える。
しかし彼は持参するから、と譲らない。
更には、彼は値引きなしの定価で買うからとまで言った。
当然、販売店は警戒する。
自明の理である。
今どき、定価で買う客が居るわけが無い。
新手の詐欺? と疑われても仕方が無い。
すると付き添いの私を保証人に立てる、などと言い出した。
冗談じゃないぞ、それは。
急にそんな話をふるなんて、どうかしてる。
しかし杞憂に終わった。
未成年は保証人にできない、と宣告された。