年老いた男が訥々と語る、「男親と娘」のお話。
ある葬儀の席に現れた老人。
ざわつく場を後目に、じろりと一瞥して……。
喪主を押しのけて、鬼気迫る表情を見せながら話し始めた。
疑念を呼び起こす、愛の炎。
今宵あなたを、地獄へご招待します。
---------
(伍)の三
「遅かったね、心配しましたよ。」
「ごめんなさいね。
女学校時代のお友達と、百貨店でバッタリ出会いましてね。
で、数人のお友達に電話をして、即席の同窓会を開くことに。」
明るく笑いながら申します。
嘘だとは思いませなんだが、なにか釈然と致しません。
「でもね、百貨店に電話をしたけれども、放送は流れなかったのですか?
何時頃だったか…三時近くだったか…」
「あらごめんなさい。
百貨店には、お昼を食べるまででしたの。
お友達のお宅に集まることにしたものですからね。
で、ついつい長話しになってしまいましてね。
お夕飯を一緒にしまして。
えぇえぇ、あなたにはお寿司を買ってまいりましたから。」