かねてから考えていたのですが、「旅行は無料にできる!」


インターネットの世界では、

Googleが様々なアプリケーションを無料で提供し、

その費用を企業広告で賄うという手法がでていますが、

旅行に関しても、企業の販売促進活動を組み合わせたら

無料にできるのではないかと思っています。


これは特に目新しい話ではなく、格安海外ツアーで

免税店を2軒も3件も回らされるのと同じ理論で、

旅行者の消費や発信力により利益が見込めるのであれば、

販売促進費として旅行代金をカバーするという考えになります。


そういう実例がないかと探していたのですが、

まだ好事例はなさそうで。。。


ただ、旅行を販売促進活動と結びつける手法は

旅行代理店も考えているようで。


JTBが提案しているリアルポイントプロモーションという手法は

旅行の各場面で最適な販売促進を旅行者にかけていく

という考えで組み立てられています。

http://www.jtb.co.jp/group-w/eigyo/realpoint2.asp


まだ本格的に実行されたケースはなさそうなのですが、

これが実現したら旅行費用も随分と安くなり、

場合によっては無料で旅行できるようになると思います。


ただ、これを実施するには、

旅行者をもう少し選別しなければいけないでしょう。

旅行者の属性によって旅行代金に差がでてきてしまう可能性もあります。


普通に考えたら、購買力のある人に対しては、

より多くの企業が販売を仕掛けたいと思うでしょうから

出稿料が高くなり、結果として旅行が無料、あるいはお金を出してでも、

旅行してもらうことに。

ブログ等で発信力のある人も、

拡販のために有益なので、たくさん販促費がつくことでしょう。


不公平に思えますが、これもファムトリップと同じことと考えれば、

特に違和感はないのでは。


かかった費用だけ旅行者に請求する仕組みの今の旅行の形態。

インターネットでのビジネス方法を見習い、

対価を求めるビジネスではなく、

別口から利益を上げる方法に変化させていくことが、

今の縮小市場から抜け出す手段になるのではないでしょうか。

観光振興に力を入れているかすぐに分かってしまうのは、

パンフレットやウェブサイトに使われている写真です。


観光地の写真といっても、そう簡単なものではありません。

何年も同じ写真で通そうとしていると、

しばらくたつと、写真に写っている人の髪型や服装が、

いかにも時代遅れなものになってきます。


また、日本でよくあるのが、

「海だけ」とか「山だけ」とか「寺だけ」のように、

人が写っていない写真もよく使われます。

が、これはやはり人目を引きづらいです。


特に海外からの観光客をひきつけるには、

自分が楽しんでいる感覚を持ってもらえるような写真。

つまりは人が表情豊かに移っている写真が

不可欠になるとなります。


では、誰でもかれでも写真に収めてしまえばよいかというと、

これまた肖像権の関係上問題が出てしまいます。

なので、一番クリアなのは、モデルさんに出演してもらい、

しっかりと撮影を行うことです。


モデルさんの手配や、撮影場所の手配、

カメラマンの手配、現地への立会いなど、少々手間はかかりますが、

10万円や20万円でできることですので、

手間を惜しんではいけないですね。


ただ、外国人が写っている写真が欲しいということも

インバウンド事業をやっていたら、しばしばあります。

これはどうするか。


外国人のモデルさんを雇ってもいいのでしょうが、

日本人のモデルさんのようにすぐにはアレンジできないこともあります。

一度私が試してみたのは、

ファムトリップ(招請旅行)にあわせたイメージ撮影。


すでにファムトリップで、撮影場所などのアレンジはできているので、

あとはカメラマンを手配し、本人からの承諾を得ればOK

さらに映像撮影も組み合わせれば、

イメージビデオの撮影でも、ライブ感ある映像が撮れます。



最後に、カメラマンのセンスも結構大事です。

下の「京おどり」のポスター2枚を比べてみてください。


観光ブランドマーケティングのブログ

出典 http://log.shinpi.jp/?eid=791710


私個人的には、右側のポスターの方が、

いまどきの構図で惹きつけられます。


宮川町のお茶屋のお母さんにその話をしたところ、

「いつも撮影してもらう地元のカメラマンの写真が左側」

「そうだ京都行こうの撮影のときに知り合った

東京のカメラマンに撮ってもらったのが右側」

ということです。


同じ舞妓さんの撮影と言いつつも、

撮り方で随分と印象が違うものと実感した次第です。


観光振興に意欲のある県知事さんや市長さんは、

「自分が引っ張っていくんだ!」という意気込みで

トップセールスをやりたがる傾向にあります。


トップセールスは、知事や市長自らが海外に乗り込み、

現地の旅行会社や航空会社、自治体の幹部に対して、

誘致活動を行うものです。


知事や市長の肝いりで行う事業ですが、

観光政策的には劇薬の部類に入るのではないでしょうか。



まずお金がかかります。

普段数十万円ずつ小刻みに使っている観光予算が、

トップセールスとなると、知事のビジネスクラスの料金からはじまり、

地元の料理などを振舞う豪華なレセプション、

随行するミス○○の渡航費など、

数百万円単位でかかってしまいます。


公共事業と比べたら誤差的な金額ですが、

観光事業であれば、

これだけでいくつも新規事業が立ち上げられてしまうくらい

おおきなお金になります。


加えてアレンジする担当者の負担も大きく、

知事や市長に不便があってはいけないというプレッシャーの中、

トップが満足して事業を終えることを第一に考えてしまい、

誘致活動するという本来の目的を見失ってしまいます。


トップも友好親善気分で話をするので、

直接的な誘致にはつながりにくい傾向にあります。



一方で、効果も絶大です。

ただ、観光客誘致という意味では効果は薄いのですが。。。


最も大きいのは、地元の機運醸成でしょう。

あまり海外に目を向けていなかった旅館の社長さんでも

知事が海外に行くならついていこうということで、

訪問団に加わったリします。

実際に現地に足を運んでみると

異国での高揚感や歓迎ムードもあって

外客誘致がこれからの切り札になると

熱い思いがわいてくるものです。


まだ外国人観光客誘致をあまり行っていない地域にとっては、

トップセールスで勢いを作るという手があると思います。


次に挙げられるメリットとしては、

訪問する旅行会社などで幹部に会いやすいというものがあるでしょう。

地方のホテルのセールスマンが単独で訪れても

相手にしてもらえなかった相手であっても、

市長と一緒であれば、時間を空けてくれます。

そこを突破口に、コネクションを作っていくという考え方ができます。


トップセールスにお金がかさむというデメリットがありましたが、

これを逆手にとって、予算獲得の手段として

トップセールスを活用するというやり方も

自治体の職員として有効な技でしょう。


普通に予算要求してもなかなか付かない新規予算を獲得するには、

やはり知事や市長の思いを動員しなければ。

トップセールスを名目に、本当にやっておきたかった

ウェブサイトの改修や、セールスキットの更新など

やっておけると思います。



皮肉ながら誘客に直接つながりにくいトップセールスですが、

事業の性格を冷静につかんでおき、

トップの一挙手一投足に振り回されずに、

したたかに裏の目的を達成していけばよいのではないでしょうか。


そこまで使えこなせれば、

劇薬も特効薬として効果は絶大と思います。

自治体の観光課や観光協会の仕事として、

地元の冬祭りの運営から、海外での旅行博出展、

観光案内所の運営、観光計画の策定、

さらには議会対応まで様々な施策をしていますので、

少し頭の整理が必要だと思います。


そこで、自治体の観光課や観光協会などの

地域観光組織の施策について、

少しまとめてみることにしました。


地域観光組織の役割


効果  経済効果 観光客の満足度 住民の誇り

↑

実行  プロモーション 受入整備 コンテンツ運営

+

企画  ビジョン 戦略 検証

+

基盤  人材 組織 財源



地域観光組織の目指すものとして、

経済効果や観光客の満足度、

さらに住民の誇りの創出があります。


これを観光プロモーションや受入整備、コンテンツ運営

などの施策を実行することで実現することになります。


さらにこういった施策の方向性を決めるのが、

観光振興のビジョンや戦略、そして検証を行うプロセスなど

企画的な要素です。


こういった取組を行うには、やはりその基盤が必要となるので、

人材や組織、財源といったものを整備しなくてはなりません。


こういった3層が組み合わさって、

具体的な効果につながると考えればよいのかと思います。


先日の「観光課の3つの能力」で書いた内容とも

連動しているので少し頭の整理になれば幸いです。


地域観光組織の施策を考える上では、

この3つの層を意識して、

致命的な穴がないよう弱点を補修したり

効果をさらに伸ばすため、

強みを強化していけばよいのではないでしょうか。


組織の真っ只中であれこれ施策を繰り出していると、

「一体どの施策が何の役に立っているのか」

「致命的な漏れが存在していないか」

ということが不安になってきます。

そういうときの頭の整理として、

このフレームワークがうまく使えれば嬉しい限りです。


観光協会や自治体の観光課などにとって、

最も重要な能力は、「実行力」だと思います。


これら地域観光組織のミッションとして、

・観光客の満足度を向上させる

・観光による経済効果を高める

・地元住民の地域への誇りを高める

という3つの側面があります。


このミッションのために、

自ら観光案内したり、宣伝をしたり、

あるいは、旅行会社やメディアに情報提供して、

他人の力を利用して観光振興の施策を進めます。


野球で言えば、捕手の古田が監督も務めた

プレーイングマネジャーのような存在でしょうか。

地域での実行部隊として活躍する一方で、

まわりの観光関係者の動きもうまく引き出すことが重要です。


そこで必要な能力が、

観光振興を成功に導くための「実行力」と、

その方向性を定めるビジョンや戦略策定といった「企画力」、

さらに先立つものとしての組織や財源といった「基盤力」の

3つだと思います。


この3つのうち最重要である「実行力」については、

先ほど述べたように、プレーイングマネジャーたる

自治体、観光協会という役割に起因するからでもありますし、

観光客や観光産業界、地元住民に最も影響する能力でもあるからです。

さらに、日本の行政組織の傾向として、

とかく新規事業の立ち上げや、新計画の策定は華々しく取り上げるものの、

あとは放ったらかしになることが往々にしてあるからでもあります。

結局、観光振興とは、「やるか、やらないか」の問題です。


二番目に重要な能力は何でしょうか。

それは「基盤力」だと思います。

やはり個人ががんばって実行力をもったとしても、

その広がりを持たせるには、

同じように活動する人を増やさなければいけません。

そのために、財源を確保し、動きやすい組織を構築する。

将来の観光振興能力を広げるために、

財源確保や組織整備、さらには地元の機運向上といった

「基盤力」が重要になってきます。


で、最後になるのが「企画力」です。

普通に考えると、まず明確なビジョンや戦略などがあって、

その先に施策の実行があると思いがちですが、

敢えて「企画力」は後回しにしています。

これは日本の事情がそうさせるのでしょうが、

行政の担当者が2-3年ですぐに異動してしまうことや

国の補助事業が、新規事業立ち上げのために

単年度単位で支給されるからではないでしょうか。


大本となるビジョンや戦略が大事だと思って、

そこを策定している間に任期の大半が過ぎてしまったり、

補助事業の報告期限が迫ってきたり、

あるいは息切れしてしまうのです。


また、政策の方向性も、時代やトップの意向、

担当者の好みにより、柔軟に変わってしまいます。

プランだけ考えて実績が出ないくらいであれば、

早く実行してしまった方がいいのだと思います。


結局実行が満足にいかず、言い訳気味な報告書や

議会答弁になることは多々あるので、

ここは大いに問題があると思っています。


このような理由で、私としては、

①実行力

②基盤力

③企画力

の順で地域観光組織には、それぞれの能力を

磨いていってもらいたいと考えます。