現在開発中の1/35 STRV103C(SタンクC型)ですが、実車の機能やプラモのアレコレを知って頂くために

Xで連載していたポストをここにまとめました。

 

お時間のある際にどうぞ。

 

【Sタンク話】

①Sタンクの話。1956年より国情に合う次期戦車の研究を行う。当時センチュリオンが導入されていたが同国では過大との事で輸入軽戦車AMX13ベースで105㎜を積む案が有力。ハンガリー動乱でT54の存在が判明。これに対抗する為に独自の戦車開発を進める事に…。かなり端折りましたが。Sタンクの始まりです。

②Sタンクの話。自国戦車開発をボフォース等国内企業に指示。条件は長砲身105㎜砲、国内調達可能な鋼板を使用、浮航装置、37t以内。特に重量がネックに。合わせてWW2での戦車被弾箇所の多くが砲塔、車体前面の高い位置であった事もあり、思い切って重い砲塔を無くして重量問題をクリア。その他にも…

③Sタンク話。無砲塔のメリットとして車体後部まで砲身を収める事が出来る為、他の105㎜砲より長く強力な62口径砲身を搭載可能に。合わせて固定式の為高い射撃精度を誇りました。90年代半まで中立主義だった同国にとって、国産、国土に柔軟に対応出来、防御に特化した戦車は理想の形でした。

④ちょっと待て。固定式の砲身でどうやって細かい照準をするのだ?と自分も思ってました。上下は油圧の車高可変機、左右はクローバー操行機構というシステムを開発搭載している様でミリ単位の砲の照準が付けられる様になっています。MBTとして開発しているので当然クリアしているのですね。

⑤Sタンク話。クローバーシステムの詳細は不明ですが、レールを滑る様なイメージ。更に、超信地旋回が全周3~4秒で可能なので通常の砲塔式MBTと同等。ちなみに固定式砲にした理由は、低車高で人が立って装填は無理なので自動装填装置を搭載、これは固定砲の方が動作が確実という訳です。

⑥Sタンク話。乗員の話①車長②ドライバ/砲手③通信手/ドライバの3名。なんと①と②はほぼ同じ操作が可能なのです。つまり被弾、どちらかが死傷しても戦車が生きていれば戦闘・機動が可能。ここが普通の戦車には見られない大きな特徴の一つです。そしてなぜ通信手は後ろ向きなのか?

⑦Sタンクの話。防御戦闘を主とするSタンクはヒットアンドアウェイ攻撃に重きを置いている為、後進も前進に近い速度が出せると言われています(約50㎞/h)攻撃後、後ろ向きに座った通信手がドライバーとして操縦します。バック時も出来れば前向きで操縦した方が良いので、通信手は後ろ向きなのです。

⑧Sタンクの話。キットの特徴は最後にしようと思ってますが、本製品には簡易的な内装(座席)が付く予定です。それは座席レイアウトを見ることでなんでだろう?と不思議に思って調べたりして頂けると面白いので。小職はプラモ(スケールモデル)は模型なので、何かしらの学びがあると良いなと思うタイプです。

⑨Sタンクの話。コラム的な話。スウェーデンは日本から遠い国ですが、日本でもお馴染みの物などがあります。SAABやVOLVO、音楽ではEUROPEやABBA。そして我々(元)J普通科軽火器ではカールグスタフ。この84㎜無反動砲はラフに扱っても壊れる気配すら無く素晴らしい砲でした(中隊の砲だけしか知りませんが)

⑩Sタンクの話。最大の特徴は車高可変でしょう。低い車体を活かす有効な機構です。中立国だった同国は防御戦闘が基本。地形に合わせて車高を変え、ほぼ相手から見えない状態で待ち伏せ攻撃するには最適な戦車(機構)でした。プラモの方にもこの車高可変機構ギミックは付きます。

⑪Sタンク話。待ち伏せ稜線射撃と言えば日本ではもお馴染みですね。この点は日本とスウェーデンは似ているとも言えます。代表的な74TKと106㎜自走無反動砲(中隊内では106SPと呼んでました)これ現役の時まだ小職の原隊にありました。旧軍戦車の面影もあり好きでしたがエンジン音がデカく煩いのなんの。

⑫Sタンクの話。2025/10/8(水)にご予約を開始させて頂く予定に相成りました。期間は11月下旬まで。基本的には頂いたご予約数で生産します。安くはない価格ですが、内容的には充実していると思いますので、お気に召しましたらどうぞよろしくお願い申し上げます。ご予約はお近くのお店、ネット通販様等で。

⑬Sタンク話。Sタンクはエンジンをフロントに2基も搭載しています。しかもディーゼルとガスタービン違う種類のエンジンを1基づつ。なぜこんな凝った作りになっているのか?その前にフロントに配置した理由の一つは乗員保護の一環として装甲の補助を考えていた様です。メルカバと同じ思想ですね。

⑭Sタンク話。エンジンの話続き。基本的には巡行時はディーゼル。高出力が必要な場面でガスタービンを起動させます。*ガスタービンは寒冷地でのディーゼルの始動の補助にも使う事が出来ます。この様にSタンクの特徴を知る時、エンジンは重要な項目なのでプラモにも再現しています。

⑮Sタンク話。戦車には同軸機銃(前方銃)があります。Sタンクの場合車体前部左側BOX内にKSP58汎用機関銃が2丁も装備されています(キットでも再現)なんで2丁も?それは面白い仕組みがあり、引き金を1回引くと右、もう1回引くと左と交互に射撃します。これは銃身過熱を防ぐ為のアイデアです。つづく。

⑯Sタンク話。汎用機関銃を撃った事がある方はご存じだと思いますが、あっという間に銃身は過熱しますからこの機能は良いと個人的に感じます。そしてフタにはストックとバイポットが2丁分あります(キットでも蓋裏にモールドで再現)これは白兵戦に転用出来るようにするためです。*蓋は実車ではヒンジで展開します。

⑰Sタンク話。通常の砲塔式戦車上にある機銃は?ターレット上に付きます。コンセプト通りかなり薄いですがSタンクのターレットはこれ(画像)ここが回転して視察、射撃を行えます。キットも回せますが御覧のとおりターレットはパーツがギチギチなので基本は位置を決めて、つけっぱなしが良いでしょう。

⑱Sタンク話。と言う訳でSタンクは乗員3名、機銃3丁と全員がいざとなったら汎用機関銃を持って高火力を持って戦えるという思想なのでしょうか。欠点は前方銃2丁の給弾は車外に出ないと出来ない事です。*搭載しているこのKSP58機関銃とは、ベルギーの名作FNMAGのスウェーデンVerです。

⑲Sタンク話。今日よりSTRV.103C(S‐タンクC型)のご予約が始まります。発信するのが今日なので、実質は明日以降にネットなどに上がってくると思います。このご時世、安くはない物ですがお気に召しましたらよろしくお願い申し上げます。*ご予約数(受注数)がほぼ生産数になります。発売は来年です。

 

⑳Sタンク話。前上面装甲について。極限まで被弾経始を考えたデザインであることは明白です。軍事なので正確には不明ですが傾斜角からすると、おおよそ150㎜厚前後の防弾鋼板と同じ程度の効果を持つと思われます。つづく。

㉑Sタンク話。HEAT弾対策はと言うと、C型から柵状の装甲を取り付ける事が出来るようになりました。プラモでは省かれるだろうと周りからよく言われましたが”付きます”(選択式)簡単そうに見えますが、これをキットとして組めるようにするにはかなり難しい設計でした。*実際組む際の難易度は高めかと思います。

㉒Sタンク話。じゃあ今主流と言えるAPSFDS(運動エネルギー弾)はどうなのか?当事者ではないので推測になりますが、次のアップデート計画(試作1両で中止)では前上面・側面にERAの装着計画があった様なのでこれで対応するつもりだったのでは?。最近はERAでもAPSFDSは対応可能な様ですし。

㉓Sタンク話。色々長くなってすみません。通常の戦車だとこんなに書く事柄が思いつかないかも知れませんが、Sタンクは特徴があり過ぎます。肝心のプラモの特徴も含めてまだ暫く続きます。

 

㉔Sタンク話。全車にドーザー機能が備わっています。これは単独でその場その場で有利な地形を作れる様にする為です。多少は装甲の役割もします。ただ、油圧などではなく①ブレードを下して車体上にある軸②を取り付けて使う。ブレード自体は固定で上下機構を使う仕組みの様です。非常にシンプル。

㉕Sタンク話。ではプラモの方の処理です。軸はドーザ収納時用①と使用時用②で形状が違うので2種付けます。つまり下すなら①は無で②を使い、収納時なら①は車体上に付ける、①は車体上に開口が必要なので、キットをどうお使いになるかで加工内容も変わってくると思います。この辺はお好みで。

㉖Sタンク話。Sタンクで一番驚く方が多いのがサイドスカート。見た目ジェリ缶に見えますが、ジェリ缶です。補助装甲と携行缶を兼ねています。なんでそんな燃えそうな物を?!と思いますが軽油の引火点は50℃~70℃ですから大丈夫なんでしょう。プロの設計ですから心配には及ばないと言った所でしょう。

㉗Sタンク話。ロシア戦車や74TKも軽油を車体に積む事がありますね。ちなみにサイドスカートは装甲、足回りから発生する熱源をカバーする役割等があります。ジェリ缶ですが、ドイツが発明した画期的な物で、効率的に燃料、水等を携行出来る様になりました。今も同仕様で世界中で使われています。

㉘Sタンク話。自動装填装置を持つ車両なので戦車砲弾の装填は拳銃、小銃の様にマガジンに装填します。運動エネルギー徹甲弾、榴弾、発煙弾の3種計50発。車内操作で弾種を選択~自動装填~自動排莢まで行えます。ただ、信管セットが必要な発煙弾だけは無線手がチャンバーへ装填する必要があった様です。*車内から可能。

㉙Sタンク話。砲弾を装填する際、姿勢制御で車体の後ろを上げる事で体に負担が少なく作業出来た様です。全弾装填は10~15分程度で完了するとの事。本車の自動装填を知るために模型でも蓋と弾倉表面のパーツを作り、蓋が開閉出来るギミックを付加させたのでした。

㉚Sタンク話。全日本HS有難うございました。沢山の方にご来場頂き誠に有難うございます。皆さん気になった所では「本製品はエッチングは使っていません」特に柵アーマーはエッチングだと組み立て困難なので…。連結履帯、ギミックなど大体の物は揃っているオールインワンキットでの価格になります。

㉛Sタンク話。Sタンクの象徴的な装備として柵アーマーがあります。ただの柵ですが、これは対HEAT弾用の装甲です。C型から装備。こんなので防げるか?効果はありスウェーデンは暫く秘密にしていた程で、現在は世界中で金網を付けたAFVが見られます。Sタンクは30年以上前に開発・装備していたのでした。

㉜Sタンク話。Sタンク知名度感覚。①昔のタミヤ様のSバルカン戦車で馴染みがある方々②AFV好きで普通に知っている方々③ゲームで知った方々④本製品で今知った方々。特に④が興味深く、これは実在の物か?アニメや映画に出てきた戦車か?と。これは60年代に開発された戦車だと説明すると皆驚きます。

㉝Sタンク話。近未来的なスタイルばかり注目されますが、内部も工夫の塊です。このポストを見るか、専門誌(バックナンバーになりますが)を探して特集を読むとより模型が面白くなると思います。フルギミックにしたのも実車の特徴を知ったら外観だけ再現したキットだと魅力半減になるかなと思った次第です。

↓車高調整GIFアニメです(アップロード出来なかったのでリンクです。GIFアニメです。プラモは自動で動きません。)

https://x.com/i/status/1981126207451414924

 

㉞Sタンク話。B型から浮航装置を装備。自力で河川を渡れます。車体の外周に付いてるフレーム①がそれです。中にキャンバス入り、持ち上げて使います。提灯のイメージ。何かの文献で見ましたが②は砲身押さえが2重になっていると言うのは間違いで、砲身部を跨ぐ部分です③は支柱。車体内側に取付けます。*キットでは渡河装置は再現しておりません。

㉟Sタンク話。その後のアップデート。C型へのアップデートが92年頃に全車完了。その後、実はD型と言う物もあります。1両のみの試作で終了。詳細は不明ながら調べた限りでは熱線暗視装置・ERA装甲・NBCフィルター他。外観的にはより力強いイメージに。時期的に74G型と似たような経緯です。*一部の資料だと浮航装置はキャンセルされたともありますが不明です(側面にERA付けたらそうなるよね…とは感じますが)

㊱Sタンク話。次期新型と終焉。無砲塔戦車の完成形、Sタンクは次期新型STRV2000として開発を検討。140㎜砲搭載との情報も。しかし中立国からの変化や砲安定化装置の実用化で無砲塔戦車のメリットが薄くなり、次期戦車はドイツのレオ2戦車に決定。90年代末頃までに全車退役となりました。

㊲Sタンク話。マメ情報を。①AFV専門誌の社長と話してましたらSタンクはPKOに出た事があり白色に塗装された写真があった様な…との事。白もカッコ良さそうです。②砲安定化装置(スラローム射撃)を見られる陸自広報動画です。テクノロジーの進化だよな。https://youtube.com/watch?v=LP36PeQClOk

 

㊳Sタンク話。弱点。当時完璧と目されたSタンクにも弱点は当然ありました。砲の旋回は3~4秒で1周すると言われる高速の超信地旋回(その場で車体を回す)を利用するのに履帯接地面積を小さくした為、多少不整地走破力が弱い。坂道で気を付けないと砲がつっかえてしまう。等があった様です。

㊴Sタンク話。各国気になる未来戦車。6~70年代に米、英、ノルウェーはSタンクを持って自国MBTと比較テストを行った様です。結果は各国共に概ね良好。ではなぜ無砲塔戦車を開発しなかったのか?私見ですが、多少優れている程度なら実績のある今の通常型MBTで良いや、様子見と言う感じだったのでは?と感じます。戦車開発と言っても簡単に出来る事ではありません。政治も関係する国家的プロジェクトですから…。

㊵Sタンク話。これにて唯一無二の無砲塔MBT Sタンクのアレコレ話は終了です。今後は金型~印刷物製作~拡販営業まで重複した案件の実務が連続して続きますので、空き時間に時折進捗をポストさせて頂きます新企画も段取りしなければ…。

 

 

最後に…Sタンクのスタイルは大変恰好良いですが、性能を突き詰めて行ったらこうなった。あくまで戦車だから何も恰好良くなるようにデザインした訳ではないのが何とも素晴らしい。

 時代の流れ、テクノロジーの進化で恐らくもうSタンクの様な戦車は現れないと思いますし、我々が展示車両を見に行く事もなかなか難しい物です。本製品でその雄姿、機能美をお手元で楽しんで頂ければ幸いです。発売まで暫しお待ち下さい。

 

 

END