以前、寛解のコツとして、快楽を自制することを書いた。



統合失調は、脳の状態が、いわば快楽中毒になっているので、

脳自身で、その依存をやめなくてはならない。


快楽の種類は、最大幸福計算で有名なベンサムの主著で数十種、挙げられているが、

単なる楽しさだけでなく、過去の成功から自己憐憫まで、さまざまな思いが快楽になりうる。

何によってドーパミンが出やすいか、一度反省してみるといいと思う。


病状を寛解へ持っていけた方法を以下に書いていく。

いずれも、心の面、身体面、思考の面を個別に紹介しているが、

これらで総合的に「債務整理」できた時に寛解は待っている。


1.普段の身体の姿勢

 脳や思考の病なのに、身体の姿勢から入るのは意外かもしれない。

 でも、武道や芸道を一度やったことのある人なら、

 行儀作法がいかによくできているか、心を守ってくれるか、

 ということを知っていると思う。

 統合失調の状態にあると、心がなくなっている場合も多いと思う。

 行動の手順もうまく立てられないことも多く、料理も簡単にしか作れないと思う。

 そこで、まず、正しい姿勢、つまり身体にふさわしい姿勢で立ってみたらいい。

 猫背にならないよう肩甲骨を近づけ、腰を前に反らしすぎず、

 脊椎も真っ直ぐでなく自然な曲がり具合で、足を内側でつけて立つ。

 (正しい姿勢は動画や本でいろいろ紹介されています)

 信号で止まる時や、交通機関に乗車している時など、正しく立ってみる。

 慣れたら、座り方、歩き方、横になる姿勢も調べて、やってみる。

 そうすると、だらけた精神が消え、余計な休息を取る必要もないと思えます。


2.リンパマッサージ、アロマ、スキンケア

 統合失調だと、とかく自律神経が乱れやすい。

 ストレスをどうこうするにも、思考が止まってしまうか、まとまらない。

 そこで、手を使ってリンパマッサージをしてみる。

 入浴中だと、滑りが良くてやりやすい。

 また、精神を沈静化するアロマディフューザーを焚いたり、

 肌の明るさを出すと、顔が明るく見えるので、気分も明るくなる。

 こうした方法を使うことで、間接的に自律神経を整えることができる。


3.洋服

 ここでは洋服と書いたけれども、バランスの感覚を磨けることなら、なんでもいい。

 脳の病は押し並べて、脳機能のバランスが偏った状態なので、

 特に思考のバランスが過剰だったり欠乏だったりする統合では、

 思考のバランスを思い出させてくれる物で訓練するのが有効と思う。

 洋服なら、外出できる。歩けるし、人目に触れられるのは、大変有効だ。

 街に出て、浮かずに溶け込めているか、から始まり、

 似合う服のある自分とはどんな自分か、と考えたり、

 季節や体型や素材を価格面でクリアしつつ、バランスの良さを出すには、

 と調べつつ思案してみるのが、思考のバランスを回復する訓練になる。

 作品を制作したり、インテリアを整えたり、持ち物を整理してみるのも有効と思う。


4.過食・飲酒・喫煙からの脱却

 要するに、中毒となるもの全てである。

 断つには、今まで自分が依存していた安易さを自覚し、

 人間の弱さは一時的なことでなく、人間生まれながら誰もが持つことだと

 知ることから始めるといいと思う。

 喜びで満たそうが、忘れようとしようが、和らげようが、

 人間はずっと弱いのである。誰でもそうである。

 (ちなみに、最も強い人は、誰よりも弱くあれる人である)

 依存してしまうのは、快楽を手軽に得られるからである。

 なので、苦痛を適宜混ぜると良い。

 もし、少しの苦痛でも避けようとして快楽だけを望んでしまうなら、

 それはれっきとした中毒状態である。

 苦痛を味わったらいい。

 過度の苦痛でなく、耐えられる程度の苦痛だ。

 苦痛の量が人並みになってきたら、自然と中毒は和らいでいる。


5.賢い人の言葉を読み解く

 思考が病んでしまったのは、おそらく、言葉の受け取り方も関係する人もあるだろう。

 統合失調にかかる人は、学業ができる人や、才人も多い。

 そこで、一度考えてみてほしい。

 以前に聞き学んだ言葉、読んで心に残っている言葉を思い浮かべて、

 その言葉は、本当には、自分が思っている意味だろうか、と。

 現在、認知行動療法が広まっており、有効だと思う。わたしも使った。

 これは、思考と身体活動を正しくつなげなおして、

 世界の認識の仕方を現実的にする、という狙いがある。

 これにだんだん慣れてきたら、おそらく症状も治まる頃だと思うので、

 今度は「認識療法」というか、言葉を使って、認識を現実に合わせていく方法がある。

 これはこういう仕組みだから、わたしはこう思い、こう考えた

 という思考訓練を続けていくのである。

 そうすると、常識がわかるようになり、徐々に物事の見分けがつき、

 社会で十分やっていける人になれる。

 賢い人ほど、自力を捨て去り、自分を諦めている。


以上、他にも挙げられることはあるが、

いずれも、生活習慣である。

将来もし、統合失調が今よりは治りやすい病になったならば、

生活習慣病のひとつに数えられるのではないかとわたしは思っている。


精神の病も、生活習慣で、大きく変わります。

生活を見直してみてください。

頭の中が止み、心が入ったら、それが寛解の始まりです。