私は2013年にアスペルガー症候群で障がい者になり,手帳を受け取りました.

今は自閉症とか広汎性発達障がいなどと名前が変わりました.

研究者や医師らの間で検討が進められ,名称はこれからもまた変わるようです.

 

私は2014年に結婚した妻と2人で10年間暮らしています.

今は11年目ですね.

いわゆるカサンドラ症候群にはなってないというか,無縁な感じです.

今回はなぜそうでいられるかという話し.

 

そもそも私が妻と出会ってすぐ,私がアスペと診断されたその診療室に,

妻は同席していました.

妻は私がアスペだとわかった上で,お付き合いしてくれたんですね.

 

私も,結婚後にカサンドラの話を知って,

私のせいで妻をカサンドラにしたくない

と日々思いを強くしていました.

 

誰だったか忘れましたが,福祉事業所のスタッフだったかに相談したら,

そう心がける気持ちがあれば大丈夫

と言われた記憶があります.

でも,心ではそう思っても,行動はいわゆるアスペらしいことしかできなかった.

まあ,言葉遣いだけは気をつけましたけどね.

 

今10年一緒に暮らしてみて,

妻がカサンドラにならない理由は,

思い当たることがあります.

 

それは,理解しようと思いすぎないこと,です.

 

聞きすぎ,語りすぎ,思いを優先しすぎ,

私こそこの人の唯一の大事な人になろうと思う,

そういう気持ちって,距離感が崩れますよね.

 

私の妻って,基本,人に興味がない.

というか,自分にだけ興味がある,とよく言ってる人でした.出会った頃から.

自分の人生とか,哲学とか.文学や教養をずっと追求する

センスやモラルの高い素敵な人物です.

 

多分,人に興味がないと言っていながら,

人のためになることを必要な時に言ってくれるし,

簡潔ですが,おおらかでユーモアのある話をいつもする人で,

私は心から尊敬してしまいます.

 

そもそも私のような人と結婚すると決めたのは妻なのです.

妻は結婚してくれたし,家も買ってくれました.

私はずっと頭が上がらないけど,それで全然いい.

 

普段は,ほとんど同じ部屋にいません.

食事も別ですし,料理もそれぞれ好きなものを作って食べます.

たまに食材の融通があるくらいです.

 

財布も完全に別です.

たまにプレゼントを贈ります.

最近は私がよく妻が必要だとか食べたいと言ったものを買ってきます.

 

平日は勤務時間が違うので,

朝起きる時間も帰宅する時間も一緒にならず,

平日で顔を見られる時間はいつも30分くらいです.

私も職場が遠いので,早めに眠らなくてはならなくて.

 

妻は,自分の好きなように生きると宣言してました.

元々1人で生活したい人だったと聞いてます.

子供は産みたくないと知った上で私も結婚しました.

 

ものも少ないし,車や自転車やバイクもない.

猫が1匹いて,服が好きで,お互いが化学を専攻した人なので共通の視点もある.

妻が謝罪を求めたことは3〜4度ありましたが,

妻が許してくれて短期で氷解しました.

 

一貫して妻は,私と気持ちを通じさせようとしません.

人がどう思うかは興味ない,という姿勢を崩しません.

気持ちや考えまで理解しようという発想が,そもそもなさそうです.

 

これが妻がカサンドラから無縁である理由だと,私は考えています.

 

妻はかなり変わった人かもしれない.

賢く分別がある今どき珍しい人かもしれない.

そんな妻のことは結婚してから今までずっと私は大好きです.

 

内実は変わった結婚生活だとは思いますが,

それで何事もなく生活できているのが,

2人がうまくいっているのが,奇跡的で不思議です.

 

結婚生活の形が見出せて,それをうまく形づくれたこと.

それはほとんどが妻の工夫やアイデアでした.

妻は本気でこの人と結婚しようと決意した,

その結果がこの生活なのだと思うと,感謝に堪えません.

 

これからもずっとこの人を大事にします.

1人の人を愛し抜いて終える人生.

他に何か求めるものがあるでしょうか.

私の人生にはないです.