休日を、海外で過ごそうと提案したのは彼女だった。


日程をやりくりするのは、比較的容易だったのは、先月までのプロジェクトが一定の高評価を得て終わらせる事が出来たからだ。


彼女も会社こそ違うが、このプロジェクトでは大きな働きをした。


この半年に渡るプロジェクトの最中に彼女は誕生日を迎えて、今年38歳になった。


小柄だけれど、整った美しい女性だ。


見た目は、可愛らしいという表現が似合うが、真の強い、キチンとした強さを持った女性だった。


そのことを、彼は、彼女と仕事で出会った最初の時に感じだ。


その印象は10年近くたった今も変わっていない。




「暖かい場所が良いの」


彼女はそうリクエストをした




「バリはどうだろうか ハワイは  島もいい」


彼女はこちらの提案を流した




「じゃどこが良い」


半ばあきらめて言うと




「本当はどこでも良いの」


とだけ言った。




「二人で決める事が既につまらないのよ」


「じゃ 僕が決めよう 普通じゃない旅を」


彼女は頷いた 笑った




「君は確実に休みを確保してくれればいい、その日程で僕は君と旅をする」


とだけ、告げてた。




休暇の10日前に僕たちは会った。


都内のカフェだった。


そして、彼女にeチケットを渡した。


日本からLAX経由でフロリダの空港までの往復だ。


彼女はそれを笑顔で受け取った。


「僕は別便で行くつもりだ、1日か2日前の便の予定だ、君とLAで合流しようと思うのだけど」


「良いわ、じゃこの次に会うのはLAになるのね」


「そうなる」


「成田から一緒に飛ぶよりも楽しいわ」


そう彼女は言っていた。






8日後、彼はエアポートにいた 一人で


空の旅は、一人の方が快適だ 彼はいつもそう思っていた。


彼女が同意してくれたのも嬉しかった


2日後に彼女はここに居るだろう



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