待ち合わせのホテルへは、一度坂を下り右折、外堀通りに出てから先ほどの坂と平行する坂道を登り直す。
少しだけ酔った顔に冷たい風があたる。
最初は快適に思えたそれも、いつか寒さを感じさせた。
五分と登らないうちに待ち合わせたホテルの建物が見えた。
小さなホテルは大型のそれとは異なり、まるで個人の邸宅かと思わせる造りで、あまり大きくない低層階の石に似せた鉄筋コンクリートだ。
これもあまり大きな開口部を持たない入り口からは、暖かなオレンジの照明の明かりが柔らかく漏れている。
エントランスには数台の車が止まり、それを避けるように回り込むと、建物の入り口に着いた。
入り口前面の扉は木製でガラスがはまり、今は開け放たれている。
そこを入ると、違和感なくガラスの両開きの自動ドアになっていた。
中はきちんと空調が施され、この建物は、見た目はクラシックながら近代的な建物だと気づかせるに充分だ。
ロビーは淡い照明が心地よい。
フロントデスクは、ロビーの奥側面にありクラークが2人さりげなく立っていた。
ロビーを直線で抜け階段を降りると、そこはビストロになっている。
顔見知りの女性が、彼女が先に来ていることを告げた。



iPhoneからの投稿