窓を背にして立った彼女

逆光の中で表情は消え、シルエットが浮かぶ


やがて、外の夕暮れが穏やかに夜へと変化する

眼下の街明りが光る

もう、そこに逆光は無く

彼女の姿と、窓の奥がパーンフォーカスになって見える。


遠くにエアポートを発つフライトの明りがみえる

テーブルにシャンパングラスを置いて、立ち上る一筋の泡越しの夜景なんて言えば

テレビの世界ではお決まりのシーン


めんどう、シャンパンは飲み干すにかぎる


めんどうだ、唇の輪郭が微かに残るグラスをベッドからぼんやり眺める


さっき、彼女が窓辺で飲んだシャンパングラス


それも既に過去


冷たい彼女の肩が頬に触れた


ブランケットの下の身体は未だ熱いのに