酒を飲んでいた
オリンピックだから、ビーフイターズを選んで。
ロックグラスにライムを絞り、皮ごとグラスに入れた。
見てくれの悪い飲み物になった。一口に含んだ量はかなりのものだった。
独特の香りが包む。

彼女は冷えたワイン
窓側のソファー
窓の外は何もなく、かなり離れてコンクリートの壁だ。余計なビル街の景色よりはましかもしれない。
「少しだけ飲ませて」
と彼女が言った。グラスを彼女に差し出す。
彼女は唇をグラスに付けて、それを飲んだ。
「夏の味なのね」と彼女は言った。
「そう、夏の味」
そう答えた。
「わからなくも無いわ、夏の味ね」

「分かって欲しいとは思わない、いや、分からなくていい」
そう答えた。
「私もこれにする」
そう言って彼女は、また飲んだ。
キチンまで歩くと、ロックグラスに半分のライムを押し付けて、スノースタイルで同じものをつくった。
窓辺に戻りそれを飲んだ。
「私にも飲ませて」
彼女が言った。
グラスを渡して「同じものだ」
と伝えた。
「これにするわ」
彼女は自分の今まで飲んでいたグラスを差し出した。
それを受け取り飲んだ。
冷えたジンライム
夏の味がした。
photo:01




iPhoneからの投稿