通された部屋入るなり、そこはまるで真夏の陽光のように輝いていた。

土壁風にしつらえた壁に、とても形の良いアンティーク風な窓が嵌っていた。

そこから、レースのカーテン越しに入る日差しはとても明るく部屋を映していた。

多分現実の光が夏のそれの様に本当の強さを持っていたとしたならば、光の部分と影の部分とが出来て、かえってこれほどの明るさにはならないのではないかと思った。

彼女は部屋に入るなり、彼を見て

「まさか 部屋が出てくるなんてね・・・・・」

と言いながら、ジャケットを脱いだ。

彼はそれをハンガーに掛け、入り口の右側に造り付けられている大きめのクローゼットにしまい、

そのまま部屋を奥に進んで片側二人掛けのソファーがついで置かれている窓に向いた方のソファーに座り足をテーブルに投げだした。


「僕もそんなに上手くいくとは正直思ってもみなかったさ」

「でも、約束は約束よね いいわ 寝ましょうよ」

彼女はそう言って彼の隣に座った。

彼と同じように足をテーブルに投げ出して、天井を向いて目を閉じた。

「そうだ約束は果たしてもらいたいものだ。」


「いいわよ」彼女は目を閉じたままで答えた。


「僕はシャワーを浴びたいのだけれど・・」

「女を抱く前のエチケットかしら」

「いいや ただお湯をかぶりたい気分なんだ」

「そうぞ、私も 貴方みたいに言えば お湯をかぶりたい気分よ」

「じゃ先にどうぞ」

かれが云うと

彼女は首を振り「自分のタイミングでそうしたいのよ」

と言い、彼に向けてバスルームを指差した。


彼は、ソファーから立ち上がるとバスルームに一旦入り、すぐに出てきて、シャツを脱いで靴下を脱いだ。ベッドサイドの椅子にそれをかけて、再びバスルームへと入った。

バスルームには独立したシャワーブースがあり彼は、服をすべて脱いでそこに入った。

お湯を出すと、石灰の香りがする湯気が立った。

水しぶきの中で彼はシャワージェルを手に取り体を洗った。

洗いながら流すという感じの強い水流の中で、彼は心地よい気分を味わった。

一通り、シャワーを浴びブースを出る。

シャワーブースの奥にはバスタブがある。

彼の眼の先にあるバスタブの中では、いつの間に入ったのか彼女が裸で空のバスタブの中に入りながらシャワーヘッドを手にお湯を浴びていた。


そして、彼女は彼に手を差し伸べ、空のバスタブに招いた。

かれは、拭きかけのバスタオルをドレッサーの台に置くと

彼女の居るバスタブに入った。

お湯の無いバスタブで彼は彼女を後ろから抱きかかえる様な形でお湯を浴びた。

彼女の裸は思いの他美しかっった。

彼女の髪からは女性の香りがした。