「やっぱり貴方は変わってるわ」
彼は黙って彼女を見た。
「ここはローマでも伝統と格式ではトップのホテルよ、そこにこの時間に酔っ払ってウオークインで部屋を確保するつもりなの このホテルに。」
彼は顔色を変えずに頷いた。
彼女は大げさに笑って見せた。
「いいわよ、寝ましょうよ ただ無事にチエックイン出来たらね」
彼は笑って頷いた。
「あ、そらから条件をもう一つ、貴方の名前がリピーターズリストにあると面白くないから、偽名でフロントに行ってね。 私もワザと怪しい女の役をするから」
彼女は楽しそうに立ち上がる。
彼は会計を済ませて、レセプションのあるホールに来た。
既に彼女は酔っ払った雰囲気を醸し出し、怪しい女を演じている。
彼が近づくと腕に手を絡めてきて、耳元で囁いた。「名前、貴方の名前は東京太郎がいいわ 、それでお部屋をとって欲しいわ」
彼は、ホテルのレセプションに向かい、イタリア語でいった。
「スクーズィ ミキアーモ タロウ トウキョウ ピアチエーレ 」
思わず、彼女が素面になって吹き出した。
彼は英語に変えると、係りに部屋が欲しいと申し出た。
理由は勿論聞かれなかったが、彼は簡単に、そして堂々度二人の行きさっを話した。
フロントマンは顔色は変えず、あくまで穏やかに少しだけ待って欲しいと告げて、顔の下にある端末のディスプレイに目を落として、キーボードを叩く。
やがて、フロントマンはしんけんな眼差して彼らを見つめながら言った。

「申し訳ございません
あいにく
ご用意出来ますお部屋が

一つしかなく、お選びいただく事は出来ませんが、南向きの明るいお部屋でございます。トウキョウ様よろしいでしょうか?」

かれは、それでいいと告げた。
笑顔だった。

フロントマンはアシスタントに指示を出しルームキーを用意させた。
準備が整い、フロントマンは笑顔で彼らを見送った。


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