男女の出来事の後 二人は、ベッドにたどり着き、そのまま眠りに落ちたようだ。
彼は 目を覚ました。
ベッドサイドの青いデジタル文字は4時を少し過ぎた事を伝える。ベッドの中で触れた彼女の身体は少し冷たかった。裸の胸がブランケットから覗く。彼はベッドを出て窓辺に歩いた。闇の中に最低限の町の明かりが見下ろせた。
欲望の支配した時間を過ごした今 彼はぼんやりと考えた。
彼女のこと
何か話すべき事があったのではないかと…
食事の前 彼女を求めた
食事のあとも
何か彼女は話したい事を持ってきているのではないか。
長い間海外出張から戻った彼女から、 むこうでの出来事の彼女の今の気持ち何も聞かずに それで 良いのかと…
彼女の顔を見下ろし彼はそう考えた

彼女は来週には又 海外に出る。 ふたたび戻るのは、かなり先になる。
そんな彼女と話すべき時間を持っていない事が、彼は急に気になり出した。
彼女と話したい そう 思いながら彼はベッドに戻り、彼女の肌に体を寄せて再び眠りについた。

自分を抱く彼の腕が暖かい事に気付いた。目を覚ました時部屋は薄明かりの中で静かだった。ベッドサイドの時計は5時を過ている。眠る彼を起こさぬ様にベッドを抜け、バスルームに入る。シャワーのお湯が体を伝う時、自分の臭いがした。出来事の時にする自分の匂いに彼の香りが微かに混ざる。お湯が頭から流れ、全身が湯に包まれて体温が戻る頃に、獣の匂いはシャンプーの何処かケミカルな香りにかき消された。シャワーを終え、バスローブを羽織る。
彼の眠るベッドルームに繋がるリビングに入る。
交わりの後を眺めて
ミニバーから水をグラスに注ぐ。
薄明かりが、やがて朝日とわかるそれに変わった。
ソファーに座る
恥ずかしい昨夜の時間を思い出す。彼は自分が長い出張の間に何を思い、日々過ごしたかを考えた。自分には都合の良い恋人として過ごしてくれただろうか、それとも…
彼は今
様々な思いがよぎった

そして 彼女自身の出来事 彼に話さなくてはならない事が…

間もなく 再び彼女は日本を発つ 彼に伝えること
かれから彼に確認しておきたい事があった。

彼女はこの休暇中に…
今日にでも と そう思った。
タオルで髪を拭いながら
彼女は 話したい出来事を頭の中で整理しようと試みた、けれど少し話すべき内容が多すぎる事に気付き、考えをやめた

時計は6時過ぎ