青空から注ぐ日差しは強く、エアコンの効いた部屋から出たバルコニーは盛夏と言える暑さだ。日射しを一瞬見上げて、その強烈な刺激に耐えかねて部屋に戻る。氷を満たしてウォッカとクラブソーダを満たした。軽く指先でステアし、唇に運ぶ。日射しが部屋に差し込むのでブラインドを下ろした。

一杯目が残り少しになった時に雨の音がした。
耳を疑いながら外を見た。

雨が塊になって落ちていく

稲妻が各所で閃いていた。
直ぐに轟音が周囲の空気ごと揺さぶる。

物凄い と表現するのにこの光景以上にふさわしいものは無い


5th F のベランダ

塊となった雨は建物の随所に激突して粉々になる

次から次へと炸裂した水の塊が破片になり 周囲は霧の立ち込めた状況になる

いつ瞬で露出した腕が湿りそして濡れる


ベランダはかなりの奥行きがあるので普通の雨では濡れる事は無い、けれど今日は違う。

置かれた植物は雨のカーテンに包まれ、その鉢の土にはやがて吸収しきれない水が溢れる。

下界の排水溝は水で溢れ、やがては逆流する。

轟音と閃光は衰えるどころか益々激しくなる。


溜まらずに部屋に引き返した。

先ほどまでの現実は厚いガラスを隔てて、快適な室温と湿度が保たれた部屋から見る光景となり急速に現実味が薄れる。

テレビ画面ではケーブルにより配信される洋画が写る

まるで、窓の外の光景も液晶スクリーンの中の景色も同じ様に


グラスの氷は既に解け、汗をかいたグラスの表面には無数の水滴が付き

抱えきれない水滴はやがて 置いてあるダイニングテーブルに水溜りを作った。


雨上がりの青空 強烈な日差しが びしょ濡れの街に照りつけるシーンが想像できた。



molt posso 追従できない放物線の裏側へ-P1000066.jpg


追伸 現実には豪雨の後 太陽が照る事は無く

極度に不愉快な湿った空気に覆われる曇天が続き やがて夜を迎えた


こんな日


こんな午後は

美しい女性と、ホテルの部屋で過ごせたら この不愉快さも解消されたかもしれない


それなのに、この日は 女房から留守番を任された不都合が午後だった