高層階のマンションの部屋 、ベランダに抜けるには寝室からと ダイニングからの2ルートがある。

この2つのルートから出られるバルコニーは似ているが違う

部屋の外側を取り巻バルコニーは一旦、角に位置するリビングの出窓で遮られる。

同じような作りの二つのバルコニーがリビングの窓を隔てて直角についている。

南側と西側だ

シャワールームから出た僕はキチンの台の上で、ウォッカを氷の入ったグラスに流し入れ、そこにトニックウォーターを注ぐ。ステアするのも面倒で指先で軽くかき回しながらリビングを横切りバルコニーに出た。

そこは、室内の快適さを完璧なまでに打ち消した湿気、空は何処か赤みを帯びた夜空だった。

南から風が流れてくるが、この風は熱くそして緩やかに動く。

リビング窓ガラス越しに向こう側を見ると、先にバスルームでシャワーを浴びた彼女の姿があった。

手には、汗をかいたグラスがあった


ふと手元を見ると 僕のグラスにもうっすら水滴がつきはじめていた。

部屋に戻ると、彼女がベッドルームの扉から出てくるところだった。



molt posso 追従できない放物線の裏側へ