もうずいぶん前の話になるのだけれど


たとえば、美味しいお店を見つけた時

彼女は必ず友人の一人にその店を紹介する

初めは、彼女自らその店に友人を伴って


お気に入りのヘアサロン 

行きつけのエステ

会員制のスポーツクラブ


手当たり次第に、自分の嗜好に即したものは、いつも必ず特定の友人の一人に紹介する


紹介した後で、友人がそこをとても気に入ることもあれば それきりと言う事もあり


友人が気に入って通いはじめたのに、彼女が何かのきっかけで行かなくなり、どちらのお気に入りだか解らないこともある。


そして、彼女自身も良く友人のレコメンドを受けていた。


この二人の女性はとても良く雰囲気が似ている。


髪型もメイクの服装も全く異なるものを選ぶのに

彼女達からは何か強烈に共通するものを感じる


僕はある時期、この一人と恋人と呼び会える関係でいた

つかずはなれずの関係はとても僕自身にも快適だった。


僕が彼女の友人に初めて会ったのは、当時六本木にあったイタリアンレストランだった。

入り口はバールの様な雰囲気の空間で、奥には個室があり

個室ではかなりしっかりしたイタリアンをコースで食べさせる店だった。

ここも彼女のお気に入りで何度か僕たちはここで食事をした事がある。

彼女はその夜は友人を同席させた。


スプマンテはとてもキリッとした辛口だった

そこから始まって、プリモ セコンディと美味い料理が続き

飲み物もいつか、バルバレスコ98年に変わった

初対面の彼女の友人は、とても良く笑い、そして食べた


アマーロでの仕上げの頃には既に深夜と言う時間になっていた。

陽気な夜だった。


店を出たところでタクシーが2台停まっていた

店が気を利かせて呼んだものだ。

僕は当然のこと、彼女の友人を車に乗せ見送った後で、彼女ともう一台に乗るつもりだった。

そんな時、彼女が僕に言った。

「後はよろしく、詳しい事は後で聞いて、今夜はこれで帰ります おやすみ」

そう言うと、彼女は最初のタクシーに乗って複雑に交差する道を下って行った。


僕は彼女の友達と店の前に残された タクシーは早く乗れよと言わんばかりに

ドアを開けていた。


(ここからは、限定にしないと)

写真は無関係 昔あったHPから



molt posso 追従できない放物線の裏側へ