昨日の夜

どこか夜風が冷たく思えるほどだった。

仲間と飲んでから、極軽い深夜の食事を終えてタクシーに乗った。

少しだけ、物足りない遊び心がなじみのホテルのバーに僕を向わせた。

ダークラムを頼んで、丸い氷を指先で触れてみた。

思いの他、氷は重い質感をたたえていた。

適度の空席があるカウンター

深夜0時を過ぎた頃に一人の女性がバーに入ってきた。

注文も身のこなしも慣れた感じの女

身なりからは、彼女の素性は解らなかった。

軽い素材のスカートに麻のジャケットを着て

ビジネスの後なのか、OFFなのかもわからない。

ただ会話からは、このバーは初めてらしかった。

やがて、他の客が引け

カウンターは女と僕 2人の客のためのバーになった。

顔見知りのバーテンは僕に言葉を投げ

女が会話に自然に混じるような悪戯をした。

良いホテルのバーテンは時として穏やかに良質な悪戯を・・・・・


軽い会話

ただそれだけのこと


40を遥かに越えた男と

30も半ばの女

ときめきとは無縁な深夜の出会い

駆け引きもせずに

遊び心で打ち解ける時間は楽しい


極自然に、2人はありもしない中仕事を見つけては場を外すバーテンの助けに甘えて


普段は遠い街に暮らすと言う彼女の髪はとても良い触りごこちだった



(この日 僕が軽い宵の中で仕掛けたゲームはメンバー限定で)


molt posso 追従できない放物線の裏側へ