それは土曜日のパーティー

退屈なパーティーには たぶん退屈でない出来事が待っているはず

そう 

今回はこんな感じで


ピアノが鳴り始め


♪♪ Misty 

え、ここからはじまるの なぜ?

酒と煙草と夜がユニゾンフレーズを流す中に、不釣合いな宝石のような女

汚れた中に 美しさを でも その美しさも 生まれたままの清らかなものじゃなく

汚れの中を通り抜けた美

普通の 僕には 到底 歯が立たない レベル・・・

でも いい女となれば、諦めが悪い男がいる 僕だ

シャンパンなんかじゃ とても戦えないさ

でも、パーティーじゃ


♪Fly me to the moon

さすがに 手ごわい そんなレベルじゃない、手強ささえも感じさせない。

なぜ、木星と火星の春の訪れを理屈に代えて 手を繋ぎキスする口実にするような女

他にはいないだろう。それも、とても適当に その場の会話なのか それとも 君を・・・・

考えただけでも 混乱して 負けは確実さ。


♪♪ ・・ As time goes by

偶然の出来事の悪戯も総て 密かに計算されていて でも時に感情に流されて

結末は 何処か心の奥底にある 男のM性が刺激され

もはや 巡る事のない出来事を諦めかけ それも しかたがないと 強い酒が飲みたくなる。


もういい パーティーはこれまで

会場を出て クロークに向いかける僕に

背中から 


♪ Let’s it snow ♪♪ ♪ 


まさか 今夜は陽気ではないからさ


クロークの前に彼女


黙ってカードを差し出す。


「私のコートもとって来ていただけるかしら」


驚いた顔を隠しながら


「僕は 上のバーに預けなおすけれど きみもそれで良い」


女は少し声を出して笑った


「面白い人ね」


僕は言った


「君ほどではないさ」



molt posso 追従できない放物線の裏側へ