仕事の途中で 一軒の靴屋を見つけた。
もう何年もメンテが楽なプレントゥを履いている。
同じ形 同じブランドのものを。
定番と呼ばれるに相応しいそれは、型崩れもなく 色落ちも無く 
まさに機能的な一足戸言えるものだ。
そしてカジュアルにも流用が聞く、アメリカ製。
スニーカーでは厳しい時はこれで代用が効いてしまう。

以前はローファーが大好きだった。
ビジネスにもロファーを履いた。
コールハン BASS そして極めつけはトッズ
ニューヨークのウッドベリーコモンに行けば、アメリカ人では殆ど居ないであろう25.5の小さな
トッズが驚く値段で買えたものだ
グッチのビットモカシンも履いた。
モカシン 初めは トップサイダー スペイリーソール

ここにきて、手間のかかる良いロファーを大切に履きたくなったんだ。
履きこんで リペアして普段の手入れもそれなりに大変なものを。
靴屋に入り、懐かしい 風合いのベイシックなものを探した。
どれも、以前よりトウ側が長いものが目立つ。
老舗のブランでさえその傾向が強くて、きちんとラウンドの付いた浅めのローファーは殆ど無かった。
それどころか、ローファー自体が極端に少ない。
ウイングチップや以前は少なかったスクエアで長大なトゥのものばかりが目立つ。
デザインはイタリアン アメリカントラシショナルなローファーは中々見つからなかった。
ようやく、1足 を見つける事が出来たのだけれど。

履いてみて驚いた。
もう、ロファーは似合わない。
今の自分には、ごっついプレントゥーがお似合いだった。
過ぎ去った時間は、スーツのシルエットも変化させたのだろうか、定番のロファーさえも似合わない。
それとも、自分という人間の感覚が変化したのだろうか。

愕然として店を出た。

時代に流されない時代遅れが いつしか 無様なままに 時代に流されている。

一番 格好悪い男になったんだと自覚した。

あ~あ