昨日も そして今日も

「何が変わったと思うの・・・」

「 そうだね 変わった事」


「何も変わらない 空けたワインの銘柄くらいかな・・・」

「違うわよ ワイン 変えてないのよ」

「オーパス」 昨日も そして 今日も

「それが気に入らないのかい」


「気に入らない事はないのよ・・・少なくてもワインだけをとればね」


「じゃ 何がいけなかった 料理のチョイスか それとも この店のチョイスかな」


「貴方 本当に解らないの」


「だから教えてほしい 何が気に入らないのか」


「馬鹿ね じゃ小出しにするは 先ず  そのコロン」

「じゃ今度は換える事にする」


「この東京の真夏に似合わないスーツ」


「アロハが良いかい それとも浴衣」


「自分で考えて」


「後は」


「その右手の動き」 「その目の動き」 「その声」「その髪」 「その雰囲気」


「つまり俺が嫌いなんだ」


「違うの 嫌いじゃないのよ だから厄介なの」


「じゃどうすればいいんだ」


「聞かないで 直ぐに答えを聞いて解決しようとする そこが大嫌いなんだから。」


「じゃ もう何も聞かないよ」


「諦めの早さも嫌い」


「いい加減にしろ」


「怒れば女が大人しくなるなんて思っていないでしょうね」


「・・・・・」


「ままさか貴方そんな風に思ってるの」


「・・・・・・・・」


「良い事を思いついた」


「何かしら」


「俺は明日から別の女と食事をする それも こんなふうに真夜中の食事を」


「つまらない 男ね」


「じゃそうすれば」


「また 聞くのね」


「だって仕方がないじゃないか・・・」



「私なら」


「君なら」


「ワイン 換えてみるわ」


molt posso 追従できない放物線の裏側へ