前回の続きです。
一つずつを自分の中で整理しながら書いていたら、
こんなに長くなってしまいました。
今回で、この話には一区切りつきます。
感染症内科へ2回目の通院日。
ギリギリまで仕事をしていたこともあって、
検査のことを考える暇がなかったのは助かりました。
病院に着いて受付をすると、
前の方がいなかったのかすぐに診察室へ。
『あれ?次は4月じゃなかった?』
と医師に言われ。
それはそう、不思議に思いますよね。
一番酷い時に撮っておいた
身体の写真も見せながら薬疹の症状を伝えました。
『あぁ…、これは薬疹だね。
ペニシリン系の薬は身体に合わないから、
違う薬をすぐに出しますね。』
これで梅毒の方はなんとかなりそう。
医師は処方箋を出すためPCを操作しています。
それを眺めながら、
まだ、大丈夫。まだPC入力してる、と。
自分でも分かっていました。
この処方箋を入力し終わったら、検査の結果が来る。
医師がマウスをクリックする音だけが響いていて。
いつまでもそれが終わらないでほしいと、
本気で思いました。
だけどそんな事はあり得るわけなく、
PCを操作する手が止まり。
『それはそれで、解決したから良いとして。』
医師が口を開きました。
さすがに察します。
お願いだから、良かったねと、安心してねと、
そう言ってほしい。
『この間の検査の結果なんだけどね。
…HIVの項目で陽性が出ました。
まだもう一度、今日採血をして詳しく
検査をしないと分からないけど。
これは多分確定じゃないかと思います。』
心臓が大きく鳴った後、身体の力が抜けました。
あぁ、やっぱりか。
受け止める覚悟はしていたつもりでした。
でも事実として聞かされると、
覚悟なんて嘘だったみたいに薄っぺらくて
何も言葉が出てきませんでした。
僕はその場で頷くことしかできませんでした。
そんな僕の様子を見て、
医師は静かに待っていてくれました。
しばらくして、
『ショックですよね。
でもね、HIVというのは、すごく恵まれた病気で。
治療するのも月に1万円くらいの負担で済むし、
それこそ私が診察を始めた頃と比べると、
見違えるくらい治療も進歩しているから。
今は、慢性疾患と変わらないんですよ。』
『それとね、慢性疾患でも例えば高血圧の薬って、
多分この先も無くならないと思うの。
一生付き合っていかなきゃいけない。
でも、HIVは分からない。5〜6年後には、
もしかしたら完治できるようになるかもしれない。
そのくらい医療も進んでいるから。』
医師という立場から全力の励ましだったと思います。
その気持ちがありがたかったです。
なんとか声を振り絞って。
「これまで検査もしてこなかったし、
自分の行いの結果だと思います。
ショックです。ショックだけど、仕方ないです。」
そう答えて、
そこからは先のことを考えないとと思い、
この病院でHIVの治療ができるのか
次の通院で何か手続きができることはあるか、
確認しました。
このままHIV治療はできる、
手続きは出来ることがあるか確認してくれる、
という回答をもらい。
それ以上は、会話も続かなかったので、
次の通院日を決めて、採血に向かいました。
その後、採血室にも医師が来てくれて、
『気持ちは大丈夫?落ち着いた?』
と声をかけてくれました。ありがたい。
でも、気になったこともありました。
僕の採血の前、看護師さん達が少しざわついていて。
僕以外に採血する人はいなかったのに、
10分以上待ちました。
前回は誰もいなくて、すぐ採血されたのに。
どうやら、HIVの検査項目で戸惑っていた様子。
結論、結構な本数を採血されたので、
何となく理由も納得。
あぁ、HIV陽性って
やっぱり頻繁にいる存在じゃないんだよな、
ということを感じました。
採血も終わり病院のロビーで、
手元には診察後に渡された検査項目のコピー。
確かに、HIVスクリーニング陽性の文字。
そして、採血で渡された、
HIVウイルス薬剤耐性の検査控え。
病院にいるといつまでも
現実を突きつけられているような気がして、
会計だとか薬の処方とか早く早く終われって
ひたすらに思っていました。
こうして、今に至ります。
まだスクリーニング検査でしょ?
と思うことも出来るかもしれない。
でも、きっと奇跡みたいなことは起こらない。
再度検査結果を聞きに行くまであと数日。
結果はまた書きたいと思いますし、
弱音や不安も吐かせてください。