2023.5.14.Pagan Prog Fest 2023
私は今回まぼろしペイガンズの正式メンバーとして、また私が組んでいるデュオしんごとひでことしても出演させていただいた
ペイガンズはだいたい半年前ほどから譜面読みを始め、幾度となくリハーサルを行うのだが
曲の複雑さからすれば、それくらいの期間があることは私にとってはありがたい
そして私はひたすら練習をする
才能のない私の場合は置いていかれぬよう、数をこなすしかない
バンドリハーサルで確認をし、また一人でひたすら練習
半年間バンドメンバーと音を構築して臨む晴れ舞台の日だ
気合いが入らぬワケはない

〈LACYMOSA PAGAN〉
昨年もご一緒させていただいたLACYMOSA PAGAN
あの複雑怪奇な曲でありながら、キレッキレの演奏に度肝を抜かされたが……
今年はさらにだった
メインボーカルの千紗さんのステージの支配度はやはりハンパじゃない
魅力あるスキーヴォイスと声楽家的な技術のある歌声、変拍子お構いなしの歌即興……
LACYMOSA は昨年よりも曲数が増えた分、千紗さんの歌の魅力が引き出された感じがした
後姿で大変申し訳ないのだが……
LACYMOSA の音の要であるピアノ兼、オーボエ兼、イングリッシュホルンの園丁さん
ドラムスの吉江さんとのコンビネーションがグッと密になり、昨年よりもグルーヴィー!!
バンドのパワー感も増し増し!
ベースレスをカバーするピアノのプレイ、オーボエとイングリッシュホルンが鳴ればバンドサウンドはさらに立体化
この三つの楽器を一人でバンドに共存させることが出来るのは……
私が言うまでもなく、凄い
ドラムスの吉江さん、最年少ながらLACYMOSAの難曲揃いを様々なアプローチでリズムを打ち出し、時には遊びを入れたプレイでサウンドを湧かす
これも驚愕でしかない
そんな三人を束ねる千尋さんは、かつてのLACYMOSAをまた新次元へと導く素晴らしいコンポーズだ
そんな千尋さんが何とベースプレイも披露された
数十年振りに弾いたと仰っていたが、いやいやいやいや、十分に現役!!
しかし、よくあのようなベースラインを考えることが出来るものだなぁ、と私は口をポカン開けながら観ていた
総じてLACYMOSAは猛者共によって、昨年よりもパワーアップしたサウンドをライブで実現していた
この後に我々だ

〈しんごとひでこ〉
あのLACYMOSAの後に我々とは、もはやギャグとしか思えないのだが……
我々が演奏でギャグをやれるワケもなく、ギャグをやれるセンスもないので、いつも通りステージに臨んだ
しかしほとんどのお客さんは、Pagan Prog Fest を楽しみにされている方々だ
欲しい音はプログレッシブ
我々のなような偽欧州中東民謡の音楽性が通ずるかどうかが心配ではあった
が……
最初の二曲を演った時点で良い拍手が湧いた
三曲目にカバーをブチ込む
空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ 
もちろん、Prog Fest ということ、場所がシルエレということでの選曲だったが、これで一気にお客さんとの距離は縮まったように思えた
ちなみに、この曲を演りたいと言ったのは妻である(笑)
そこからは我々の世界を堂々と演るのみ
新曲のHabibi Bisalam Habibi も無事おろす
最後には偽露のヴォルガ〜を演奏すると、何故か手拍子が発生
これは大変嬉しい!
全力で駆け抜けた40分
私も妻も演れることはやった

後日、SNS等で我々への過分な評価を目にした
嬉しいと同時に、そこには必ず我々の音楽性を「仮想トラッド」と書いてあった
偽民謡」以外の表現方法を初めて発見
今後使おう、と思ったが……
偽民謡の猥雑な響きは好きなんだなぁ(笑)

〈まぼろしペイガンズ〉
しんごとひでこの演奏が終わった後、直ぐ様私は全楽器のシールドを抜いて場所移動
まぼろしペイガンズだ
今一度気合いを入れ直さねば!
男四人のペイガンズだ
この日のキーマンはなんと言ってもバイオリンの続木さん
バイオリン、メロトロン、ボーカル
これを曲中にほぼ同時に演るのだ
メロトロンを弾いてペダルで残響を残しながら、素早くバイオリンを弾きながらコーラス
この一人三役はキツイ
もはや曲芸師!
この日の私はメインで歌わせていただく曲もあり、千尋さんとの歌での絡みも多かった
歌は上手くない私だが、どの曲も私の声に合っており、特に古楽曲 Tempus Est Iocundum などは朗々と歌うことは本番でも実に楽しく、千尋さんとの掛け合いも良い見せ場だったのではないかと!
反面、今年の私はちょいちょいミスも多かった
2ステージ続けてということもあり、集中力の持続がイマイチと言えばイマイチ
持ち直すために、普段飲まぬコカ・コーラなぞを飲んで無理矢理血糖値を上げてみたことでけっこう取り戻した
だが修業不足である
反省は反省として……
しかし最後のLACYMOSAとまぼろし〜の合同演奏は実に楽しかった
楽しかったと同時に、気力体力を振り絞った
しかしそれは私だけではない
メンバー皆様もそうだったと思う
最後のPhantom Of The Opera では宇宙船の機体がワームホールへと突入するかの如き様
機体の母体を支えるのはベースの坂野さんと私だ
空間の歪み、あらゆる角度からの重力と時間の抵抗
それをねじ伏せるように機体は軋みながらも進む
千紗さんの歌い上げる一番最後の声は、空間の彼方へと消えることに成功した瞬間
あの声は一気に無へと駆け抜ける、素晴らしい最後だったと思う

画して、Pagan Prog Fest 2023は無事に閉幕
とにかく、やり切った
そして昨年同様、疲れを3日ほど引きずるポンコツへと化す私だった

観てくださった皆様、本当にありがとうございます
そしてシルバーエレファントのスタッフの皆様、ならびにLACYMOSA PAGAN とまぼろしペイガンズのメンバーの皆様、お疲れ様でした