昨日の営業終了後、



ポルオさんがおもむろにギターを出してきた。



どうやら、



長渕剛の“とんぼ”にも手をだしたようだ。



どうしてこんなに長渕おしなのか謎である。



「♪コツコツとアスファルトにきざーむ…」



弾きながら歌う事になれたみたいだ。



少しモノマネっぽく歌っている。



長渕剛というよりさだまさしだ。



しばらくして、




「“しゃぼん玉”と“とんぼ”どっちがうまいか聞いてくれ」



と言ってきた。



聞いてどうするんだ、


と内心思ったが、




「うまくなったか聞いてくれ」



に比べたら、

はるかにレベルアップしてる発言だし、



よし、聞こう!


と思った。




まずは、覚えたての“とんぼ”を披露してくれた。




「あーあ 幸せの とんぼがぁー…あれ?」


気持ちよくサビの部分に入った時、


ギターの音が思ってたより低かったらしく、


何度かやり直していた。




ポルオさんの高めの音程が徐々に低くなっていく。


どうやら、


歌声とギターの音と温度差があったらしい。



私は笑うのを耐えた。



なんとか一番まで歌いあげた。



続いては“しゃぼん玉”の番だ。



「♪ひりひりと傷口に…あれっ?」


「♪ひりひりと…あれっ?」


いきなり出だしでつまづいた。


なんと、

“しゃぼん玉”の歌詞なのに、

音程は完全に“とんぼ”で歌ってしまっている。



どうやら、

どちらも出だしのギターコードが同じらしく、


さんざん“とんぼ”を歌ったもんだから、


“しゃぼん玉”の音程を忘れてしまったらしい。



…私は耐えきれず、


爆笑してしまった。


練習のパートナーさなえさんに

音程を聞いて思い出し、

なんとか一番を歌い終えた。



「どっちがよかった?」



彼は真剣だ。



一応、

「“しゃぼん玉”がよかったよ」

と言った。


理由は聞かれなかった。

ホッとした。



「“しゃぼん玉”は、♪泣きっ面にしょんべん♪と歌うところが少し恥ずかしい」

と言っていた。



「聞いている方はそうでもないよ」

と教えてあげた。


なんだか満足したようだ。




いやはやしかし、



ポルオさんのギターの腕は確実に上がってきている。




その一方で


スタッフからは、


「ポルオさんが長渕に取り憑かれとる」


と心配されている。