会員になってるミニシアターで仕事終わりに見てきた映画。
上映間際迄、私しか観客がおらずキョロキョロ
ぎりぎりに、若い男性がひとりだけ、後ろに来た。
ほぼ貸し切り。

観客も、主人公である彼の立場を擬似体験できる。
バンドマンでドラマーの彼に襲いかかる突発性難聴。
戸惑いと、不安、困惑のなかで必死につかもうとする希望。
ろうあ者たちの共同生活を拒みつつ、戻れない自分を受け入れらなく苛立つ日々。
悲しみと苛立ち、行き先のない自分を苦しめる聞こえない現実は、彼のこれからを少しずつ変えていこうとする。
希望を持って決断実行したはずが、誓ったはずの恋人との微妙なずれ。
生きていくことは、変化を常にしていくことで、失いたくないものまで手放さざるを得ないこともよくある、ということを再認識させられる映画だ。

最後は希望に包まれる、と評論した人がいるが、わたしはそこまではみえない。
『喪失感』をじゅうぶんに味わえる映画であり、ラストも、のし掛かる巨大な喪失感というものは簡単には拭えないものだというメッセージを受け取った気がする。

オススメの映画ですカチンコ