西洋のコトワザに《 魚は頭から腐る 》があります。意味するところは『人間の集団や組織は、国家も企業も上から腐る --- 腐敗し、劣化していく』ということ。このコトワザ、現在の日本の状況にピッタリ当てはまりますね。一強支配を続ける 安倍晋三 政権によるモリカケ疑惑など腐敗臭プンプンです。
 中央政府がそんな体たらくですから、地方自治体も続けではないでしょうが、去る22日、横浜市の林文子市長が驚きの記者会見を行いました。その模様を伝える朝日新聞の記事をシェアしましたので、ゼヒ、ご一読くださいませ(以下に転載済み)。

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朝日新聞 DIGITAL (2019年8月23日付)
【 横浜市長、慎重一転「IR誘致」 反対派「だまし討ち」 】

 横浜市は22日、カジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致すると発表した。羽田空港からアクセスがいい横浜港の山下ふ頭(同市中区、47ヘクタール)を候補地とし、2020年代後半の開業を目指す。

■■横浜がIR誘致、山下ふ頭がカジノ候補地 反発は必至
 首都圏でIR誘致を表明した自治体は初めて。市民の中にはギャンブル依存症や治安悪化などへの懸念から反対論があり、曲折が予想される。

 この日の定例記者会見で林文子市長は「横浜の将来への強い危機感がある」と話し、▽19年をピークに市の人口が減少に転じ、財政悪化が進む▽観光客は日帰りが大半で1人あたり観光消費額が少ない――など市の課題を列挙。国際会議場やホテル、カジノなどを含むIRの誘致によって、建設時に1兆円前後の経済波及効果がもたらされ、市には年1千億円前後の増収効果が生じるなどと利点を示した。

 市は9月2日から始まる市議会定例会に、専門的な調査分析、ギャンブル依存症の実態調査などの費用として計2億6千万円の補正予算案を提出する。(武井宏之、土屋香乃子)

■■市長「一切やらないというのではない」
 林氏は2期目の14年、IR導入を検討するプロジェクトを開始。「(観光客を呼べる)インパクトある施設が横浜には足りない」などと述べ、誘致に前向きな考えを示していた。

 誘致反対を掲げる2氏との争いとなった17年の市長選を前に「白紙」に転じたが、昨年7月のIR実施法成立後、民間事業者からIRの開発構想案を募ったり、IRに関する市民説明会を開いたり、誘致の「下準備」を進めていた。

 林市長はこの日の会見で、慎重姿勢からかじを切った理由について「一切やらないということではなかった」と釈明。自民党のベテラン市議は「市長選でトーンダウンしたが、(誘致を)やるという方針はずっとあったのでは」とみる。

 林市長の表明を受け、誘致を働きかけてきた横浜商工会議所は「誘致を実現するために積極的に支援・協力して参りたい」とのコメントを発表。一方、立憲民主党県連の阿部知子代表は「だまし討ちに等しい」と反発。「(IRが)そんなに良いものなら選挙の洗礼を受けてやればいい。こそこそやるのはやましいからでは」と批判した。

 誘致反対派の市民団体も記者会見を開き、林市長のリコールを検討する考えを表明。市民数十人と無所属議員らが誘致反対の署名や意見書を直接手渡そうとして、市役所内で市職員や警備員ともみ合う場面もあった。小林一美副市長が代理で受け取ったが、抗議は約2時間に及んだ。

■■事業者からは熱い視線
 横浜市の動きに即応したのはIR事業者だ。22日、業界最大手の「ラスベガス・サンズ」(米国)は「東京と横浜での開発の機会に注力する」とし、大阪府・市の事業者選定への参加を見送ると発表。マカオなどでIRを運営する「メルコリゾーツ&エンターテインメント」(香港)も「横浜市はプレミアムな海外観光客を対象とする大型開発の理想的な候補地」とし、みなとみらい地区に事務所を開くと明らかにした。

 横浜市が首都圏で初めて誘致表明したことを受け、東京都の担当幹部は「早いもの順で決まるわけでもない。できることをやっていく」。慎重な姿勢を示してきた小池百合子知事は報道陣に「都の姿勢はこれまでと何ら変更はない」と話した。千葉市の熊谷俊人市長は会見で、「我々としての作業手順を一つひとつした上で、誘致するかしないか、総合的に判断していきたい」と述べた。(太田成美、寺崎省子)
(シェアした記事の URL:https://digital.asahi.com/articles/ASM8Q7KWCM8QULOB009.html?fbclid=IwAR3wdprsshgl5mn5PHb6hPKrg4IgH0rrRoK_lvWo7o4XRzg-lfP--tv0dwo)
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 2015年のデータでは、日本は公営ギャンブルにパチンコと宝くじを合算すると、年間約29兆円(!)もの売り上げに達している ギャンブル超大国 です。こんな国は他に聞いたことがありません。国民一人当たりに換算すれば年間約24万円で、一ヶ月当たり2万円のギャンブル出費となります。
 年間24万円という数字は、分母を全国民とした単純平均値です。従って、実際には少なくない人が相当な金額をギャンブルにつぎ込んでいる、と想像できます。ですから、多くの人が「カジノ誘致は不要」や「ギャンブル依存症が増えるのでは」と心配するのは至極当然のことです。

 IR 推進法(※) --- いわゆる カジノ整備法 では当面、全国で3ヶ所の設置が認められることになっています。既に 大阪市、和歌山市、佐世保市、苫小牧市、釧路市、留寿都村の6ヶ所が名乗りを上げており、少し前から福岡市も色気を出しています。そこに今回、横浜市の 林文子 市長が参入を決めた、ということ。
 興味深いのはアメリカ ラスベガスで カジノ王 の異名を取るユダヤ系資本家 シェルドン・アデルソン 氏の動き。アデルソン氏は大統領選挙でトランプ候補のスポンサーを務めた人物ですから、大統領となったトランプ氏もアデルソン氏の意向をムゲにはできません。

 2017年の夏、アデルソン氏はカジノ推進派の日本維新の会 松井一郎 氏と 吉村洋文 氏両人の訪問を受け、その直後には同氏自らが来日して松井&吉村両氏を訪問しています。この動き、大阪市にカジノ誘致を目論む維新の会の準備活動であることは言うまでもありません。
 ところが! シェアした記事によれば、林文子横浜市長が去る22日にカジノ参入を公表すると、アデルソン氏は即座に「東京と横浜での開発の機会に注力する」と発表した、とのこと。コレ、タイミング良過ぎ、と言うか、図ったようにピタリ。広大な太平洋もネバダの砂漠もないかのような阿吽の呼吸。

 2017年夏のアデルソン氏の大阪訪問は、実際には 横浜カジノ開設 に向けた陽動作戦だったのですね。と、言うことは、横浜市のカジノ誘致は2017年7月に行われた横浜市長選挙前から織り込み済みだった、ってこと。もちろん、日本維新の会も軽~く手玉に取られたわけです。
 繰り返しますが、アデルソン氏はユダヤ系資本家で、トランプ大統領とは仲良しこよし。日本には年間29兆円規模(!)のギャンブル利権があると知っていたアデルソン氏は、それを狙って大統領選挙時からトランプ候補に食い込んでいたのだろう、と容易に想像がつきます。

 日本の政権与党 --- 自民党がアメリカからの要求にはNO! とは言えないことを十分理解した上でのアデルソン氏の動きでしょう。安倍晋三 総理は国会審議をサボり続けてゴルフ三昧ですが、実際は、安倍総理のゴルフ接待を受けるトランプ大統領が「シンゾー! ワカッテルダローナッ」てな具合だったのでしょう。光景が目に浮かぶようです。情けない。
 林横浜市長の白紙からカジノ決定への動きを多くの人たちが批判しています。もちろん、その批判は当然ですし、林市長が横浜市民に丁寧に説明する義務を負っていることは間違いありません。去る22日の会見で、林市長は「20年、30年先を見据え、成長、発展を続けるためには IR を実現する必要がある」と発言。

 その上で「(IR 事業総体で)建設時は1兆2千億~7500億円、開業後は年1兆~6300億円に上る」との試算も明らかにしています。本当にそうウマくいくでしょうか。一方で、ギャンブル依存症対策については「(国が進める)依存症を増やさない取り組みや、治安対策の環境が整ってきた」と言うのみ。
 自らの選挙時に、カジノ誘致に関して「白紙」と公言していた割りには余りにもズサンな論拠ですし、「(住民投票は)考えていない」と明言するなど、とても市民の方を向いた姿勢とは言えません。安倍総理をマネて剛腕を発揮すれば押し切れると踏んでいるのでしょうか。

 先に述べた通り、横浜市以外にも6~7の自治体がカジノ誘致に前のめりになっている現状。これらの自治体は揃って 1)IR 事業ではカジノは一部分に過ぎない、2)外国人観光客を呼び込む起爆剤、3)IR 事業で得た収益で自治体財政を好転させる、と主張しています。
 しかし、こういうリクツは1986~87年の 中曽根康弘 政権時、民活事業促進として リゾート法 を制定し、それを受けて全国に建設された かんぽの宿 がたどった顛末を考えれば、ただのアドバルーンに過ぎません。大いに危惧せざるを得ません。

 そもそも、国民の実質賃金が下がり続ける中で、リゾートもギャンブルも成り立ちませんからね。そして、今回のカジノ誘致問題の本質は " 自民党のアメリカ隷従 " にあることを見失わないで欲しいですね。実際、中曽根政権時のリゾート法もアメリカからの内需拡大圧力におされた結果だったのですから。
 弱い者には強く当たり、強い者にはヘコヘコする安倍政権とそれに追随する自治体の首長、これらは皆、アメリカ様の奴隷志願者です。こうした為政者に対し、いい加減、有権者は目を覚ますべき。でないと、ますます苦しい生活に追い込まれていきます。「魚は頭から腐る」のですからね。(2019/08/25 記述)
(※ IR 推進法:統合リゾート推進法=カジノをメインに宿泊、ショッピング、テーマパークなどを整備する統合リゾート設立の基本法)
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