去年12年23日付の本投稿 << ハシャギ過ぎ! の文在寅 政権 >> で件の " 韓国駆逐艦によるレーダー照射事件 " について、韓国の文在寅 政権による対応を批判しました。批判の趣旨は、1)文政権は密かに対北鮮融和策に舵を切っているのではないか、2)そうであれば、北鮮の非核化は進まず、3)朝鮮半島情勢は再び混迷化する、でした。

 あれから一ヶ月を過ぎて年も改まりましたが、レーダー照射事件 は韓国側が逆ギレ対応を始め、昨日、韓国海軍は「日本の哨戒機が今月23日にも低空威嚇飛行を行った」と写真5枚を公表して日本側に抗議しました。こうした韓国側の対応 --- 自分たちのミスを指摘されると大声でワメキ出すのは、いつものことではありますが......。まず、シェアした記事をご一読ください(以下に転載済み)。

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朝日新聞 DIGITAL (2019年1月25日付)
【 (社説) 日韓防衛問題 冷静に摩擦の収束を 】

 国防の活動において最も肝要なのは冷静な思考である。この隣国間の不毛なあつれきを、ただちに収束させるべきだ。

 日韓防衛当局間の摩擦が止まらない。海上自衛隊機へのレーダー照射問題に続き、今度は韓国側が新たな抗議を発表した。海自機が韓国の艦艇に繰り返し威嚇飛行をしたとしている。
 日本政府は否定しており、やはり双方の主張は食い違う。
 懸念する事案が発生したというのなら、相手に伝え、事実関係を調べるのは当然だ。ところが今の両国当局間では、そのための対話も円滑に進まない。

 その憂うべき事態のなかでも今回の韓国側の発表は、明らかに穏当さを欠いている。国防相が記者団の前で、海自機への実力行使までをも示唆したのは極めて不用意な発言である。
 これに先立つレーダー問題での協議は平行線をたどった。日本側は批判の応酬を避けるためとして、協議を打ち切った。
 後味の悪さは残るものの、今後の関係を考えるとやむを得ない判断と言うべきだろう。だが韓国側は納得せず、協議の継続を求めている。

 両防衛当局はこれまで、北朝鮮問題の緊張が高まるたびに、米軍と共に協力を深めてきた。2016年には、曲折の末に日韓の協力を明文化した軍事情報包括保護協定を結んだ。
 遅々としながらも前進してきた防衛協力を、無為に損ねてはならない。最近の朝鮮半島での緊張緩和を背景に、韓国側で万一、対日協力への関心が薄らいでいるとすれば、未来志向の信頼関係は築けまい。
 もちろん、日本側にも関係の悪循環を断つ責任はある。現場での国際規定を守るのは当然として、韓国側の訴えにも配慮する方策を考えるべきだろう。

 日韓は排他的経済水域が重なるほど距離が近い。偶発的な事故や誤解を生まないためにも、平素から独自のルールを定め、認識を共有する防衛交流を深めることが有効ではないか。
 スイスでの外相会談では、この問題や徴用工問題などを話しあい、意思疎通を緊密にすることを確認した。いまの大半の問題は、背景に政府間の風通しの悪さに伴う不和がある。
 来月下旬には米朝の首脳会談が計画されている。結果がどうあれ、日韓が結束してあたる必要性が高まるのは自明だ。

 隣国関係を大局的に見据える政治のかじ取りが必要だ。こじれる諸問題を座視してはならない。安倍首相と文在寅(ムンジェイン)大統領は今こそ直接対話し、両国民に協調の価値を説くべきである。
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 繰り返しますが、去年12年23日付の本投稿でも韓国の 文政権 は既に北鮮融和策に舵を切っているのではないか との危惧を表明しました。昨年12月20日の韓国海軍の動き --- 自衛隊機からの写真&動画で見る限り、北鮮の木造船を取り囲むような状態で韓国 海洋警察の警備艇と同海軍の駆逐艦が出動していたことは、恐らく、韓国側の言う通り " 北鮮船の救助 " だったのでしょう。

 しかも、場所は日本の 排他的経済水域(EEZ) 内だったようですね。そうなると、北鮮船が日本のEEZ内で何をしていたか が問題となります。北鮮船が漁船 --- 写真を見る限りイカ釣り船のようですが --- ならば、これは日本から見れば、" 違法操業 " の疑い濃厚。日本政府も この北鮮船が何をしていたのか について、韓国の海洋警察と海軍が現場にいたのですから、韓国政府に問うべきです。

 もし、韓国側が「北鮮船が燃料不足で漂流状態だったので救助した」というのなら、それは対北鮮制裁を続けている各国 --- 取り分け、日本とアメリカには連絡すべきでしょう。そうでなければ、国連で決議している対北鮮制裁を韓国側が勝手に破っている可能性が出てきますからね。文在寅大統領は「北鮮と言えど、しょせん同一民族だから」と甘く考えているのではないでしょうか。

 あるいは、最悪の場合、以下のようなことも考えられます。去年12年23日付の本投稿で少し触れましたが、地政学的に朝鮮半島を見ると、中共、ロシア、日本 --- その実態はアメリカ、という3大国に取り囲まれています。この状況で朝鮮半島の統一国家が取れる戦略は3つ。1)3大国と等距離外交を堅持する、2)3大国の内、いずれかと強固な同盟を結ぶ、3)自らが軍事強大国となる、です。

 従来の北鮮の戦略は 2)メインで3)補助でしたが、金正恩政権になってからは 3)メインで2)補助 という具合ですね。現在は、従来からの2)メインで3)補助 に動いているようですが。当然、後ろ盾の大国は 中共 です。一方、韓国の戦略は従来より 2)でした。後ろ盾は アメリカ です。そして、北鮮がアメリカと対話を始めたことで、状況は急速に動き始めました。

 南と北の統一 --- もちろん、文在寅 大統領は経済力で圧倒的に勝る韓国主導での朝鮮半島統一を考えているでしょう。この場合、文 大統領は1)の戦略をメインに3)を補助に考えているのでは、と危惧します。南北が統一されれば、統一当初こそ、南側は大き過ぎる経済的負担を抱え込むことになりますが、人口規模は8000万人弱となりますので " 準大国の誕生 " です。

 しかも、南側が負担する経済的負担 --- 北側を支援する経済的負担ですが、これは日本の北側に対する戦後補償を当てにできます。こう考えてくると、文大統領にとって南主導での南北統一は絶対に成功させたい事業であることが分かります。しかも、統一に際し、ごく平和裏に統一できるならば、北鮮の核兵器をそのまま統一朝鮮が保持できる可能性も出てくる --- これが3)につながります。

 平和裏の統一であれば、統一朝鮮は北鮮が開発してきた核兵器を手にできるワケです。人口規模で準大国となり、核兵器も残るとなれば、国家戦略 3)も現実味を帯びてきます。そうなれば、1)の戦略も取りやすくなります。古代より中国の属国とされ、近代には日本の植民地とされ、現代では南北分断で大国の影響下に甘んじてきた朝鮮半島の人々には念願の " 独立 " となりますから。

 統一後について、野望と言うべき構想が 文 大統領の頭の中に描かれているのでは、と心配になります。それゆえ、昨年末にトランプ大統領から厳しく苦言を呈されたにもかかわらず、こっそりと独自の対北融和策を取っているのだろうと推測します。で、昨年12月20日、韓国がこっそりと国連の対北制裁破りを行っている現場を、海上自衛隊の P-1 哨戒機が発見した、ということでしょう。

 それゆえ、韓国海洋警察も海軍も P-1 からの呼びかけには答えなかった、否、「制裁破りをしている」などとは回答できるはずもありませんからね。このことは韓国側の対応を見ていれば分かります。最初はレーダーを照射したのしないの、と騒いでおきながら、今や、自衛隊機の低空飛行こそが問題と論点のすり替え&居直り始めていますから。まるで、万引きを見つかった悪ガキです。

 一方、日本側の対応にも問題があります。日本側は「なぜ、韓国海洋警察と海軍が日本のEEZ内にいたのか」について説明を求めるべきでした。そして、韓国側が「北鮮船を助けるための人道救助だった」と回答したなら、「北鮮船は日本のEEZ内で何をしていたのか」と再質問すべきでした。韓国側の回答次第では「件の北鮮船を日本も取り調べる」と主張すべき。

 こうした対応ができず、と言うか、しないまま、韓国を批判する&韓国批判へ国内報道を煽る 安倍晋三 政権の振る舞いはお粗末でした。徒に日本国内の反韓嫌韓感情を煽るのは、政権担当者がすべきことではありません。今後も、自衛隊は東シナ海、日本海、太平洋西部方面の警戒監視活動を続けていきます。今後も自衛隊の哨戒活動は、韓国や北鮮にとって、目の上のたんこぶというわけです。

 その際、今回の日本側のマズイ対応を韓国はもちろん、中共も利用してくるハズ。今後、日本政府は毅然として国際法に基づき、謙抑的かつ淡々と国際法に従って行動することが求められます。いいですか、皆さん。日本列島周辺は、今後、波高し、という状況になって来るでしょう。だからこそ、自衛隊は 日本列島を守る という原則に徹した行動に徹すべきなのです。(2019/01/25 記述)
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