私の大好きな作家さんの一人。
桜木紫乃さんです。
今回読んだのは、昨年に発表されていた、
「ブルース Red」という作品です。
だいぶ前の作品に「ブルース」というのがありました。
その続編かな?
そう思いながら読んでみました。
一言でいうと、どこをどう切っても桜木紫乃さん。
まるで金太郎飴のようです。
もう一人、島本理生さんも同じなんですが、
良くも悪くも、お二人の特長です。
まあ、一般的には有名な作家さんは、
誰でもそうなんですが…
そうでないと、
そうならないと、
有名作家にはなれないのでしょうね。
音楽の世界でも同じですよね。
その人だけの世界が必要なんでしょう。
ただ、そう考えると、
他の方の作品との比較というより、
その方自身の作品と比較になります。
そして、今回の作品は…
今までの中では今一つだったかな~
その理由ははっきりしています。
それは、ラストのところで、
主人公が釧路を出てしまうからです。
いや、釧路というより、
北海道から出てしまいます。
苫小牧からフェリーに乗って。
今まで、こんなストーリーあったかな~
全てを完璧に読んだ訳ではないのですが、
そんな主人公の女性はいなかったように記憶しています。
では、なぜ釧路から出てはいけないのか。
それは、桜木紫乃さんの主人公たちは、
皆釧路という土地の象徴する存在だからです。
釧路から出てしまったら、
その人ではなくなります。
つまり、その人の生き方、生活が、
その土地と一体化していて、
その人が釧路という土地そのものなのです。
土地は動きません。
まさに、不動産ですから(笑)
そんなわけで、釧路から離れた時点で、
それまでの主人公の人生がぼやけ、
作品そのものもぼやけてしまいました。
それでも、桜木紫乃さんらしさは十分伝わりました。
本当にこの方の作品は大好きです
昭和に一世を風靡した作家、
水上勉さんをいつも思い出してしまいます。
水上さんがよく舞台にした、
北陸という土地とは全く離れていますが、
二つの土地には似た印象があります。
だから、釧路へは一度も行ったことはないのですが、釧路という街並み、空気感はなんとなく想像できます。
一度、行ってみたい場所です