10/31(土) Go To 広島ミステリーツアー1日目~その5~ | ちいたろうのお出かけ日記

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いつかはあなたの住む街へ,行くかもしれません~♪。

 さあ、あとは広島に戻るだけ。
「国道でもいい?」
 広島呉道路でも国道でも、夜ならそんなに時間は変わらないことでしょう。高速を使えばお金もかかりますし、私はただ乗っているだけなのですから、国道で十分です。
 それに、海沿いを走る国道31号線は、大好きな道の一つ。明るい時間なら、海に浮かぶ江田島や似島を眺めながら進む、瀬戸内らしい道です。
 しかし、そんな素敵な道ですが、ここは2018年の西日本豪雨で大きな被害を受けた場所でもあります。大好きな道が変わっていないことを望みます。


「そういえば、お店は豪雨の影響、なかったんですよね?」
 ふと、そんなことを聞いてみました。お店があるのは、広島の旧市内。みんな無事でいるはずですし、今まで何も聞いたことがなかったからです。
 しかし、お母さんの返事は、
「もー、大変じゃったんよー」
というものでした。
 娘さんを矢野まで迎えに行くのに大渋滞だったこと、運転していた車のすぐ近くの車が流されていったこと、豪雨の後もしばらく交通が寸断されていたせいで、呉との行き来に困っていたお客さんがいたこと……。
「まさか、あんなことになるなんてね」
 今は当たり前のように走っているこの国道31号線も、豪雨による土砂崩れで通行止めとなりました。今は夜ということもあり、その痕跡はまったく見当たりません。しかし、災害という非日常は、実は日常の続きにあります。非日常と日常はいつも表裏一体で、実は連続しているものなのです。
 今回の新型コロナウイルスも、はじめは別の国の出来事。特別機を飛ばして日本人を救出するという非日常が展開されたわけですが、それがその後どうなっていったかは、誰もが知っているところでしょう。新型コロナウイルス感染症は、もはや風邪やインフルエンザと同じく、日常のものとなってしまいました。他のあらゆる病気だって、決して他人事ではない。つい、自分は大丈夫だと思ってしまいがちですが、病気になるということは非日常ではなく、それが日常になるということなのです。
 お店に戻ると、中に明かりが点いていて、お店の娘さんとその娘さんたちが夕食にハンバーガーを食べていました。
 一番下の娘さんもだんだんとしっかりしてきて、言うことは聞かないわ、ちょっかいは出すわ。そんな娘をたしなめる娘さんを見ると、昔のお母さんを思い出します。
 子供と過ごす以前の日常が、その成長にともなって非日常となっていく。そして、次の世代が生まれることで、再びかつての日常が戻ってくる。なるほど、人生もまた、日常と非日常が連続してやってくるものなのでしょう。
 赤とんぼからは、歩いて中町のホテル法華クラブ広島へ。到着してチェックインの手続きをしていると、フロントマンが、
「以前ご利用いただいたことがありますか?」
と言います。
「はい」
と返事をすると、
「いつもありがとうございます」
とひと言添えて、カードキーを渡してくれました。 こんな小さなきっかけで、ホテルに対する印象は大きく変わるものです。
 部屋に荷物を置いて、八丁堀あたりに出かけることにします。そこそこお腹は満たされているのですが、何か食べたい。流川や薬研堀へ繰り出すほどではないけれど、1杯くらい飲みたい。そんな微妙な腹具合なのです。
 本通に出ると、奇妙な恰好の若者がゾロゾロ歩いていました。そうか、今日はハロウィーン。しかし、お化けの仮装よりも、“ミニ〇ン”や“鬼滅〇の刃”などのキャラクターに扮したコスプレの人たちを多く見かけます。
「ここでも、ハロウィーンはコスプレの日なのか」
 例年は舞浜のパークでよく見かける光景を、今年は広島の繁華街で見るようになるとは思いもしませんでした。パークと違っているのは、女装した男性をよく見かけること。胸のあたりに何かを入れて膨らみを強調し、ピチピチの服を着ている人たちや、セーラー服で飲食店にならんでいる人たちがいるのは驚きです。これは、広島だけの傾向なのでしょうか。それとも、いつの間にか、男性が女装をする日になったのでしょうか。
 そんな若者たちのパワーに気圧されて、パルコ前からじぞう通りへ抜けると、そこにいたのは仮装の人たちばかりでなく、けたたましいエンジン音を響かせるオートバイが数台いて、道の真ん中に停まってアクセルを吹かしています。
 以前、この街の祭礼に暴走族の若者が出没し、大騒ぎをするのが問題となりました。最近はずいぶんと大人しくなった印象でしたが、そのエネルギーは健在だということなのでしょう。


 せっかくここまで来たのだからと、平和大通りを渡ったところにある広島担担麺の店、武蔵坊に寄ることにします。ビールは小瓶で、海外のビールもあるとのこと。ちょっと迷って、タイのビール、シンハを注文。武蔵坊の担担麺は、今まで食べた広島の汁なし担担麺よりもエスニックよりの印象で、ビールらしい味を感じさせつつもスッキリと飲めるシンハにはピッタリです。


 しかし、この時間に食べる担担麺はなかなかヘヴィで、
「私はもう、若くはないのかもしれない」
と、情けないことを考えてしまうのでした。