芸能人と付き合って、六本木のマンションなんかに出入りする美人ってのは、いったいどんな人生なんだろうね。女優などを見てると「こんなに綺麗じゃあ、一般人としては生きていけないだろうなあ」などと思うことがある。得することも多いだろうけど、なかなかにしんどいのではないか、などと思ったり。

絶世の美人が「ああ、この顔が憎い」とうめくのは、江戸川乱歩の何という小説だったかな。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「マレーナ」という映画があって、第2次大戦下、田舎町に住むマレーナが、その美貌ゆえに周囲に翻弄され、男から男へと渡り歩き、対独協力者としてリンチにあう、という痛ましい話だった。マレーナは意志が弱いだけで悪人じゃない。ただ、田舎町に住むにはあまりに美しすぎたってだけ。

公開の際に主演のモニカ・ベルッチに話を聞く機会があったんだが「私も美人だから苦労した。外見に釣り合う知性を身につけて、ようやく落ち着いた」ときっぱり言われてちょっと戸惑った。ま、綺麗だけどさ。




山田風太郎「八犬傳」面白い。滝沢馬琴の名作を山風が大胆にアレンジしていて、八犬傳の物語と、馬琴と葛飾北斎のやりとりという虚実が交互に描かれる。上巻をもうじき読み終わるんだけど、先の展開が楽しみ。