年齢を重ねるごとに知らないことが増えて行く。
近頃は植物に興味が出てきたが、
何も分からないのであった。
近所に竣工から半世紀以上が経過した団地がある。
5階建てでエレベーターはなく、
夜歩きに通ると窓明かりもまばらだ。
私が少年であった頃、ここに住む子供たちは多くあって
大変賑わいがあったように思う。
高度成長期に建てられ、
多くの人々の生活の場であったこの団地も、
年月を経て大分と寂しくなってしまった。
団地には年に数回、雑草除去など業者が来ているが、
樹木の隙をぬって野良棕櫚などが生えている。
建物の南側には芝生があって、
芝生の他にも広大な敷地内には公園や広場がある。
何とはなしに散歩をしていると、
植えられた樹木に興味を惹かれた。
天に向かい枝葉を伸ばす樹形は力強く
まるで炎のようだ。
これはなんという樹木なのだろうか。
グーグルレンズ博士に聞いてみた。
『カイガライブキトオモワレマス』
ふむ、カイヅカイブキというのか。
■カイヅカイブキ(貝塚伊吹)
ヒノキ科ビャクシン属イブキ
の栽培品種の1つである。
常緑針葉樹で高木となるが、
刈り込まれて低木状に
仕立てられていることもある。
枝がねじれて巻き上がり、
炎のような樹形となる。
漢名は「龍柏」。
ありがとうインターネット。
なるほど、ヒノキの仲間なんだな。
この地にカイヅカイブキが植えられたのは
団地の竣工年と同時と推測すると50年以上前の事。
その頃(60年代末期から70年代前期)は、
高度成長期で、公害が激化していた時期だ。
カイヅカイブキは当時、大気汚染に耐えられるほぼ唯一の針葉樹
であったらしい。
■炎のような樹形が格好いい
時代性に合致して、当時は多くのカイヅカイブキが
日本各地に植えられたとそうな。
この団地のカイヅカイブキもその頃のものとみて間違いなさそうだ。
選定を前提として植えられているようなので、
この辺りでは手入れが行き届かない古く広い敷地の
団地でもなければ炎のような姿はなかなか見る
ことができないかもしれない。
■選定されたカイヅカイブキ 近頃では植えることも少ないと聞いた
カイヅカイブキは盆栽に仕立てたものもあるようだ。
炎のような樹形も自宅で楽しむことができるかもしれない。