ケチくさい話 | ロンドンつれづれ

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プロにその知識・技術の提供を依頼するのに、まさに「コンビニでアルバイトする高校生の報酬」のような額を提示する…。

 

地方自治体に良くある話で、例えばイギリスに来て高名な著者・学者などに90分のお話をお願いしたいと言いながら、「講演料は出せないんです」と平気で言ってくる地方自治体があって、顎が外れそうになるのだが、予算が組めないならその話は無かったことにしかならない。

 

大学の教授というのは、講義をしてそれで身を立てているというのに、講義だけお願いして無料で、というのは、お店に入って商品を手に取り、「じゃあ、これもらっていきますから」と金を払わないで店をでていく行為に等しい。

 

今は円が弱いので、英国での相場を言うと「高い!」と言われるが、教授は物価の高い英国で暮らしているのだ。 それを値切るのは、1000円と書いてある商品を、「予算がないので、30円で」といって持っていくようなものだ。

 

通訳も、「1日でそんなにもらえるの!?」と言われることが多い職業だが、その1日、その1時間のために、何日間資料を読んだり、書籍を買ったりして勉強するのかが知られていない。それより以前に、通訳になるぐらいの語学力を身に着けるのに、どのぐらいの投資が必要だったか。語学学校はもとより、留学には何百万いや、何千万円もかかっている場合だってあるのだ。

 

さらに、外国語が話せれば通訳になれると思ったら大間違いで、芸能人やスポーツ関係のテレビインタビューと違い、学術的、専門的な通訳にはそれなりの知識が必要なのだ。脳外科の通訳をするなら手術をする医師と同じぐらいの知識がなければ通訳はできない、といわれるぐらいなのである。1日5時間も通訳すれば、疲労困憊、脳みそがマヒするぐらい疲れるのである。

 

プロの仕事を甘く見てはいけないのだ。

 

 

さて、街中でのヒグマの出没に、住民が怖がっている。なんとか駆除しなくてはいけないが、役所のスタッフではなんともできない。そこで猟友会のハンターにお願いすることになるのだが、1日4800円だという。ヒグマ相手なら、そこに3700円ぐらいのプラス。日当8500円である。これは安い…。安すぎる。

 

ケチ臭い話ではないか。猟友会が「コンビニでアルバイトする高校生の報酬」と憤るのも、もっともである。ハンターのライセンスを取るための費用、猟銃や弾を買う必要経費を考えても、バカにしているのかと思うだろう。

 

ヒグマによる犠牲の半数は、ハンターだという。つまり、武器を持っていてもヒグマと対峙すれば致死率が高いのが、クマ退治である。プロの技術をもってしても命がけでやる仕事に対して、8500円はひどすぎないだろうか。

 

役所というのは、皆様の税金で成り立っているから「無駄遣い」はできません、というのは分かる。

 

しかし、納税者が一番納得できる税金の使い方は、「我々の命を守るため、安全を守るための対策」ではないだろうか。それこそ「無駄遣い」の対極にあるはずで、他にもっと切り詰められる無駄遣いがあるはずではないか。

 

ヒグマがでても、市町村がハンターにお金を払いたくないから、猟友会に知らせることもしない、というのは、住民の望みではないだろう。まずは、住民の命を守ることが、地方自治体の最優先ではないのか。

 

 

 

 

「ヒグマによる人身事故の被害者の半数はハンターです。いくら銃を持っていても、相手がヒグマの場合、反撃を受けた場合のリスクはそれだけ大きい。仮に命だけは助かっても、半身不随になったり、Bさんのように何度も手術をしたり、本業の仕事にも支障が出るケースがほとんどです。ですから奈井江町との話し合いでも、休業補償も含めて実施隊の隊員はちゃんと保険に入れてほしいと頼みました。町側は『隊員は臨時職員扱いで、公務災害が認められるから大丈夫です』と言うんだけど、それでどこまでカバーされるのか。補償の具体的な内容もはっきりしない。これでは命をかける気にはなりません」

 

 

ひとつだけはっきりしていることがある。それは、今後、全道的にヒグマはどんどんと増え続け、それに対処すべきハンターはどんどん減っていくという事実だ。

 データで見れば、1990年代に5200頭だったヒグマの生息数(推定)は、2020年度には1万1700頭と30年で倍増している。一方でピーク時の1978年には約2万人いた北海道の猟友会の会員数は、2022年には5361人と、実に4分の1まで減少している。

 さらにヒグマを獲った経験のあるハンターは70歳以上の高齢者が多く、彼らが引退してしまったら、そのノウハウもまた途絶えてしまうことになる。



――今後、北海道では、これまでヒグマが出没してなかった地域での出没もあり得ますが、そうした地域では既に猟友会がなくなってしまったところもあるそうですね。

「ですから、これまでのようにすべてを猟友会に“丸投げ”というヒグマ対応はもう限界だと思っています」

 

――誰の責任において駆除を行うのか。山岸さんは自治体が主導権を握るべきだとお考えですか?

「私は最終的にそれしかないと思っています。それに対して猟友会は、例えばNPOなど法人化して町役場とクリアな契約関係を結び、粛々と駆除に当たるという形もありだと思います。とにかくはやく本格的な対策を始めないと“手遅れ”になるぞ、というのが僕らの認識です。というより、既に手遅れかもしれない。この危機感をより多くの人に共有してほしい。それが今回の我々の行動の真意です」

 

死んだと思ったヒグマに頭を噛まれて頭蓋骨骨折…増え続けるヒグマと命がけで対峙するハンターが見た“危機”と“異変” (msn.com)