自選短歌 一新橋の駅前ビルは阿弥陀くじ寒暖計が取り外された 四つ目の病になって土曜日に医院を回りきれなくなった 詞の意味と食い違っても洋楽の日本語題が面白かった 十時迄働き酒を呑み終電二時に眠って六時に起きる けし坊主侮るなかれ万の種ナガミノヒナゲシ都市を制覇す タイマーで午後八時に鳴るラジオ無人の部屋を賑やかにする 引き籠もり男のPCキイの側面は白い孤独が降り積もっている 引き籠もり男の口の傷跡は鏡の中で十歳のまま 頑なに茶碗の縁で卵割る父の味です卵かけご飯 昭和しか知らぬ父には還暦も老後もなくて戦があった