入院の前日に行わなければならない検査の一つが、PCR検査でした。
当時のコロナ禍での入院は、通常の入院手続きとは異なり特別な配慮が必要でした。
病院内には同じように検査を受ける人々が並んでいます。
「こんにちは。ぽっぽさんですね」
受付で名前を確認し、案内されたのは静かな待合室。
ソーシャルディスタンスを保つために椅子は間隔を空けて配置され、スタッフも全員防護服を着用しています。
緊張と不安が入り混じる中、私は自分の順番を待ちました。
しばらくして、検査室に呼ばれます。
スタッフの丁寧な説明を聞きながら、鼻からサンプルを採取。
激しい痛みはないものの、あの異物感には慣れそうにもありません。
「結果についてですが、陰性の場合は連絡はいきません、陽性の場合のみ連絡が来ます」
スタッフがそう告げてくれました。
「○○、今PCR検査が終わったよ」
と、息子にLINEで状況を報告しました。
息子が下校時刻になった頃、「お疲れ様」とスタンプが返ってきました。
入院前の準備はたくさんありますが、一つ一つ乗り越えることで、少しずつ前に進んでいる実感が湧いてきました。
大丈夫!私たちは一緒に頑張れる。
自分にそう言い聞かせながら、私は家路につきました。
PCR検査を終えたことで、入院への一歩を踏み出した気持ちがします。
これからの治療に向けて、心の準備も少しずつ整えていきたいと思いました。