対バンのSNUGのリハーサルを聞いていたYasakaは何かを考えていた。
SNUGのリハーサルが終わり、自分たちがセッティングを始めようと言う時にYasakaは考えていた事に結論を出した。

「今日、ピアノなし。ギターだけで行こう。」とYasakaはEmilyに言った。

この日のpop popはギタースタイルの曲とピアノスタイルの曲を混ぜてライブを行うつもりでいた。すでにピアノは車から降ろし、ステージ前まで運んであった。
しかし、SNUGの出すアーバンな音に対して今日の自分たちはギターサウンドをメインにしたアーシーな音を出して行こうとYasakaは考えた。
簡単なリハを終えて、改めて今日のセットリストが考え出された。

Emilyのカバンの中からいつもの単語帳が出された。
pop popの単語帳、それは普通とは使い方が違っている。単語帳に書かれているのはpop popのレパートリー達が1曲ずつ書かれている。それをパラパラとめくりながら、その日演奏する候補曲が書かれた単語帳をピックアップしてテーブルの上に並べる。
ざっと曲が出そろったところで、Yasakaがパズルを並べ組み立てるようにセットリストを作っていく。そしてパズルの完成したセットリストをEmilyがメモに書き留める。
こうして、その日のセットリストが出来上がる。

午後8時を過ぎた頃、pop popのライブが始まった。
1曲目はpop popのレパートリーの中でもおなじみの「Ol' 55」からスタートした。いつもはピアノで弾かれるこの曲がギターで演奏されている。
少しこもりぎみなLivの音がEmilyの声と混ざる。
どこかさみしげな、それでいてやさしいこの曲の空気が客席を包んだ。

この日のライブで歌われたビートルズの「Come together」のカバーはカントリーブルース調で演奏された。Yasakaの意図したアーシーな音で行こうという事で急遽リストに組まれた曲だ。

ブルースとEmily。
一見意外な組み合わせに思えるが、不思議と違和感はない。やっている曲もブルースではないのだが、ブルースな手触りがあるのだ。
実はEmilyはYasakaの影響もあってブルースをよく聞いている。
一時期はロバート・ジョンソンのCDがずっと彼女の車でかかっていた事もある。だから彼女の歌にもブルースな手触りがあるのかも知れない。

ライブの最後は「What's Going On」が演奏された。熱い演奏に客席は大きな拍手を送り、アンコールが求められた。アンコールには「Will you Love me tomorrow」がギターバージョンで演奏された。

ライブの後で何人もの人から「今日初めて見たけど、すごく良かった。また見に来たいです」と声をかけてもらえた。二人にとっても今日のライブはとても手応えのあるライブだったのでその言葉がとても嬉しかった。

=== SET LIST ====================================

 1. Ol'55
 2. In My Life
 3. Turn Me On
 4. Long Black Veil
 5. Come Together
 6. heaven
 7. Natural Woman
 8. Wonderful World
 9. Let It Be Me
 10. What's Going On

 -encore-
   Will You Love Me Tomorrow

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