pop popはJacks Innで2ステージを終えたところだった。
今日の出来は悪くはなかった。店のマスターもとても喜んでくれていた。
お店に来ていたお客さんたちからも拍手はもらえた。
しかし、ライブを目当てにやってきたわけでなく、
友達と騒ぐことに夢中なお客さんたちにとって
pop popはただのBGMにしかなっていなかった。

(相手をこっちに向けさせられなかったのも自分たちの実力がまだまだって事だよな。むしろ自分たちの演奏でお客さんが迷惑そうな顔をしなかっただけでもよかったよ)とYasakaは思っていた。

そろそろ引き上げようかと思っていた頃に何組かのお客さんがやってきた。

「今日はもう演奏終わっちゃったんですよね...
 時間が遅いから無理かなぁとは思ってたんですけど」と
ひとりのお客さんが言った。
彼はお店のマスターに今夜pop popのライブがある事を聞いて
興味を持ってくれて、足を運んでくれたひとりだった。

「よかったら、少しだけ演りましょうか?」
Yasakaは言った。

「え?いいんですか?」とそのお客さんは言った。
「マスター、いいですか?」
Yasakaがたずねると
マスターは「どうぞ、どうぞ。是非是非」と二つ返事で答えてくれた。

ギターケースからLivを取り出し、チューニングをすませ、
ミニアンプにジャックを差し込んだ。
「それじゃ、ボーナスステージということで3曲ほど」
Yasakaは言った。

3曲目の「What's Going On」を終えたとき、
この日一番の大きな拍手が来た。
お店にお客さんは6人ほどだったけど、誰もが大きな拍手を送ってくれた。
となりに座っていた男性は
「僕は何度、この歌に救われたかわからないんだよ」と
感激にひたっていた。
そんな彼に答えてpop popはさらに2曲を演奏した。
「Take it to the limit」をとなりで聞いていた彼は
「明日からもがんばろうって元気が出た」と喜んでくれていた。

=== SET LIST ====================================
 1stage
  1. Wonderful world
  2. L'ete
  3. Ruby Tuesday
  4. Come Together
  5. Turn Me On
  6. Natural Woman
  7.Time After Time
  8. In My Life

 2stage
  1. heaven
  2. Long Black Veil
  3. Get Back
  4. After the gold rush
  5. You've Got A Friend
  6. Ol' 55
  7. Let it be me

 Bonus Stage
  1. Will You Love Me Tomorrow
  2. You Send Me
  3. What's going on
  4. Big Yellow Taxi
  5. Take it to the limit

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