ライブが終わった後で
対バンのギターの男の子が
「yasakaさん、これ見てくださいよ」と声をかけてきた。

男の子は少し得意げにトランプの手品をした。
yasakaはぼーっとそれを見ていた。

「あれ?反応弱いっすね?」男の子は言った。
「いや。(手品は)すごいなーと思ったけど。
 ほかの事が気になってさ」とyasakaは答えた。

「ほかの事って?」 男の子は聞き返した。
「うん。それを練習する時間があったら
 もっとギター練習する時間にあてればいいのになと思って」
とyasakaは言った。
「その通り!」とカウンターの中から
店のマスターの大きな声が返ってきた。



夢を見ることは誰でもできる。
でも、夢をかなえようとする事は
そんなに簡単にできる事じゃない。
夢は夢であって現実とは違うのだから。
夢をかなえるという事は
夢の世界を現実の世界に引き出す事。
それには大きな力が必要だ。

本人の努力かもしれない。
時には犠牲を払う事が出てくるかも知れない。
人が望めばすぐ手に入れられるものでさえ
自分があきらめなければならない時さえあるかも知れない。
夢をかなえようとする生き方は
時にはとても刹那的な生き方なのかも知れない。

夢を追う中で人は迷う。
本当に夢はかなうのか。
本当に夢を追い求めていいのか。
夢を追いかけるために何かを失うとしたら
そんな夢のある人生は幸せなんだろうか?と。
そこで、夢を捨ててしまう人もいる。
「夢から覚めた」と思い、人は大人になる。
でも、中にはその夢を捨てられない人もいる。

たとえ何かを失うとしてもそれを望む。
人はそこでそれを本当に「好き」なんだと気づく。

好きな気持ちにまっすぐに向かうその人を見て
周りの人はそれを応援したり、手をさしのべたりする。
その人の強い気持ちが周囲の世界を動かしていく。
そうやって自分と周りの世界が動き続けていくと
やがて、夢に見た世界が目の前に現れる。

pop popの二人の夢はまだまだ夢の中だ。
夢の中から現実へとつながる扉がどこにあるのかさえ
二人にはわからない。
たとえ見つけたとしても、今の二人では
それを開く鍵も力もまだ持っていないとyasakaは思う。

夢をかなえるためにはまだまだ足りない。
yasakaはそんなことを思いながらライブを続けている。
「オレもトランプの手品を覚えている時間はないんだよね」と
yasakaは思った。

=== SET LIST ====================================

 1. Wonderful World
 2. Manic Monday
 3. Big Yellow Taxi
 4. 0l'55
 5. After the gold rush
 6. Long Black Veil
 7. The Weight
 8. Let it be me
 9. Will You Love Me Tomorrow
 10. Take it to the limit

 A: What's going on

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