いつもこじんまりとした小さめの場所でライブをしているpop popにとってサニーサイドは大きかった。

Emilyは緊張していた。
Yasakaはpop pop以前に何度かサニーサイドに出演していた事もあってEmilyほど緊張はしていなかったが、それでもサウンドチェックの時はいつもより神経質だったかも知れない。

先に出演したM.B.clubは素晴らしいステージを見せていた。27本のベルを操る4人のメンバーたちはその信じられないほど複雑かつ俊敏に動く手元とは裏腹に、安らぎを与える音色を舞いながら奏でていた。その様子を見てEmilyが思わず「あの人たち、まるで妖精みたい」と感嘆の声をあげたほどだった。

そんな素晴らしいステージの後で、M.B.clubを目当てにきたたくさんのお客さんの前で演奏する。音楽には勝ち負けも敵味方もないが、気分はサッカーで言うところの「Awayで試合をする」ようなものだ。ついつい自分で自分にプレッシャーを与えてしまいがちだ。


「結局は、どれだけ自分たちらしい演奏ができるかどうかなんだよね」

前の晩、Yasakaはこう言っていた。
そして、この日のサニーサイドではpop popの二人がより自然体で演奏できる曲がセレクトされて演奏された。

トム・ウェイツがピアノを弾きながら歌っているのが頭に浮かんで来てアレンジが生まれたという「Time After Time」のカバーや、この日初お披露目でありながらまるでずっと演奏してきたかのようなリラックス感をかもし出していた「Wonderful world」のカバー、そして見に来ていた友人が“サニーサイドでライブやるって聞いて、絶対この曲をグランドピアノで弾いてるバージョンで聞いてみたかった”と言っていた「Take it to the limit」まで、pop popの勝負曲とも言ってもよい曲達が演奏された。

ライブはアンコールにおなじみのナンバー「O'l 55」を演奏し、幕を閉じた。
ステージを降りた後も、客席から二人に大きな拍手が送られた。
二人の肩からやっとプレッシャーの荷物が降ろされて笑顔がこぼれた。


=== SET LIST ====================================
 
  1. Time after time
  2. In my life
  3. Wonderful world
  4. A Whole new world
  5. L'amour c'est comme une cigarette
  6. You've got a friend
  7. My Heart will go on
  8. Let it be me
  9. Take it to the limit

  A. Ol'55

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