グジョンセンとグドヨンセン
ベスチャスニフとベスチャストニヒ
パヴリュチェンコとパフリュチェンコ
いつの時代も「外国人の名前を日本語で同表記すべきか」という問題は我々を引きつけ、不毛な言い争いに引きずり込む。
最近はちょっとましになった。昔(7~8年前)は「Juan Sebastian Veron」が「ベロン」か「ベーロン」か、はたまた「ベローン」かで言い争っている人たちがいたものだ。あと「Yegor」が「イーゴル」か「イェゴール」かで同じ喧嘩をしている人をみたことある。海外サッカーがまだメジャーになりきっていなかった、古き良き時代であった(R.I.P WE HOLIC)
今日は今までネットサッカー界を騒がせてきたメジャーな発音がらみのトピックを取り上げたのち、発音問題に対する筆者のスタンスを述べる。
ちなみに筆者がまっとうな教育機関でまっとうに勉強したことがあるのは英語、ロシア語、アイスランド語、スロヴァキア語である。
■「グジョンセン」問題
日本においては一般的に「エイドゥル・グジョンセン」と呼称されているバルセロナ所属のFW/MF、Eiður Guðjohnsen。
アイスランド語の発音を日本語で表記するというのがどれだけ無謀かつ不毛な挑戦かはわかっているのだが、あえてカタカナにすれば「エイズュル・グュズヨンセン」が最も近いと思われる。(ただアイスランド語のuをどう発音するかはちょっと自信がない。なので「エイズル・グズヨンセン」でもほぼ一緒だと思う。)「ð」は「ズ」である。英語の「th」の濁ったほうと同じ音だ。
ただ、発音表記はプラグマティックであるべきだと私は思う。今日から私が彼のことを「エイズル・グズヨンセン」と表記し、毎回その下に「ðは英語でいうthなので「ズ」が正しく云々」と言っていたらたいがいの人は私のことを知識をひけらかそうとして失敗している痛い人だと思うだろう。私だったらそう思う。
そもそも外国語を完璧に日本語表記することはムリなのだから、どこまで突き詰めてもそれは一様に本来の発音から離れているという意味で「間違っている」わけで、結局程度問題でしかない。だったらみんなに認知されていて、実際にはあり得ないほどかけ離れていないものを使えばよろしい。
というわけで私は「グジョンセン」と一生呼び続けるつもりだが、この話をややこしくしている問題が一つある。2007年5月に発売されたNumber Plus「欧州蹴球記 辺境から来た偉人たち」において、グジョンセンはインタビュアーの質問に対しこう答えているのだ。
―インタビュアー「イングランドでは『アイダー・グジョンセン』という発音が一般的ですが、正式にはどう発音すればいいのでしょう?」
―グジョンセン「エイドゥル・グドヨンセン(中略)結局は、英語風の発音にされてしまうんだ。」
んなわきゃない。んなわきゃない、はずである。明らかに「ð」という文字が使われているのだから。そこで以下の可能性が考えられる。
1.インタビュアーが聞き間違えた
2.グジョンセンが「どうせわかるまい」と遠慮した、もしくは幼少時から海外生活の長いグジョンセンは「グドヨンセン」と周りから呼ばれ続けたために遠慮して発音する癖がついた。
多分2だと思うのだが。
続く