年齢を重ねて、肺炎などで家族が入院したときに心臓マッサージをするかしないかを聞かれることがありますが、
心臓マッサージについて細かい話を聞くことはないでしょう。
心臓マッサージはどんな事をするのか車の免許を取る際に講習を受けている方も多いので
ご存じの方も多いと思いますので簡単に説明すると、胸の真ん中に手のかかとの部分を重ねてのせ、肘を伸ばしたまま真上から強く(胸が約5センチ程度沈むまで)押してください。押した後には瞬時にその力を緩めますが、手が胸の真ん中から離れないよう、ずれないようにします。これを1分間に100~120回の速さで繰り返し続けます。
胸が5cmへこむほどの衝撃を1分間に100-120回加える
教科書的には上のような写真できれいな感じですが、現実はこんな感じで手が胸にめり込んでいます。
すざましい苦痛を伴います。
私が医学生の時、当時の医学部長が心筋梗塞で心停止となり、心臓マッサージをされ、回復されましたが、
その後我々の前で講演した際に”もう二度とされたくありませんね・・・。”
とおっしゃっていたのが印象的でした。
心臓マッサージをすると肋骨がかなりの確率で折れます。
実際に心臓マッサージをされた人がどれだけ胸骨や肋骨が折れているか調べた報告があります。
それによれば実に男性の86%、女性の91%に何らかの骨折が生じ、
男女ともに約11カ所骨折していたという報告があります。
DOI: 10.1016/j.resuscitation.2015.02.034
またこの論文では重篤な合併症は1.86%であったことから心臓マッサージは肋骨が折れたとしても必要な手技であると結論しています。
実際に心臓マッサージで起きうる合併症として
- 肋骨骨折
- 胸骨骨折
- 肺挫傷
- 血気胸
- 心タンポナーデ
- 肝損傷
- 胃内容物の逆流による窒息
- 皮下気腫・縦隔気腫
- 誤嚥性肺炎
- 内胸動脈損傷
といったものがあります。
救命に必要な手技ではありますが、これを知った上で自分や、自分の家族に心臓マッサージをするかしないか考える必要があります。
心臓マッサージをすると
①強い苦痛を伴う
②90%近い確率で肋骨や胸骨が折れる
③2%程度の確率で内臓損傷などの重篤な合併症が生じることがある
これらを理解する必要があります。
あなたはそれでも心臓マッサージをしますか?


