人工呼吸器管理の中で最も効果が高いのは喉に管を差し込んで呼吸管理を行う挿管人工呼吸管理になります。
人工呼吸管理は肺炎等の肺疾患、心不全による肺水腫などで呼吸が出来なくなったときに酸素状態が悪化しないように行われる処置です。
あくまで呼吸の維持のみが目的であり、肺炎や心不全を治す治療ではありません。
元々の病気を治す治療ではない事を理解する必要があります。
元々の病気が治らない限り人工呼吸器から離脱することが出来ないのです。
このことから、人工呼吸器管理は”延命”措置になります。
人工呼吸器につながれるとき、このような形で喉を器械で展開し、チューブを気管に差し込みます。
意識がある状態でこんなことをされたらむせ込み、苦しいので薬で意識を落としてから行います。
人工呼吸管理中も意識はなくした状態で経過観察を行います。
人工呼吸器をつけると以下の点が問題になってきます。
①鼻腔、口腔機能の低下
人工呼吸管理をしていると、飲み込む運動、鼻からの呼吸がされない状態が続き、
嚥下機能、唾液の分泌の低下、鼻による空気の加湿機能などが低下します。
②消化管運動の低下
食事がとれなくなるため、消化器機能が低下し、消化吸収、排泄機能が低下します。
③筋力低下
呼吸を全て機械に任せて寝たきりになるため、全身の筋肉が衰えます。
ひどくなると自分で呼吸すら出来なくなり、人工呼吸器から離脱できなくなることもあります。
④挿管管理中の精神的苦痛、身体的苦痛による精神状態の悪化
寝かされているとは言え、体には負担がかかります。
眠りが浅くなって自分が動けないことのストレスや、喉の管の痛みなど身体的ストレス、それらのストレスで精神が参ってしまうこともあります。
こうなる可能性もあるため、よく考えていく必要があります。
実際に挿管管理されて助かる確率はどれくらいでしょうか。
原疾患や年齢にもよりますが、
普通に自宅に帰れる確率は24%、
自宅以外の施設に帰る確率が41%、
死亡する確率が33%
(J Am Geriatr Soc 2018.)
下はこの論文の図です。年齢を重ねる程死亡率が上がり、90歳以上になると死亡率は50%に到達します。
また、ずっと気管に管を入れているわけにはいかないので(喉を痛めたり、口腔内が不潔になったりするため)2週間で図のように気管切開されます。
気管切開は人工呼吸管理された患者の約17%が施されるという報告もあります。
Intensive Care Med (2019) 45:1742–1752
人工呼吸管理をしますか?といわれたとき、このような事実があることを知っておく必要があります。




