一年に一度の恋人 | 宇都宮紫の怖い話

宇都宮紫の怖い話

ちょっと怖いけれど、ぜひ読んでね!

私には、一年に一度、傍に居てくれる恋人がいます。
今日がその日です。
彼は、私の恋人でもあり婚約者でもありました。
でも、彼は、もうこの世には居ません。
自殺したのです。
私は、彼が何で悩んでいるのか知っていました。
お金持ちで、賢くて、優しくて、仕事もできて、全てをもった幸せな人だと思っていたのですが、そんな彼にも悩みがありました。
彼は、ずっと悩みを抱えたまま、とうとうこの世を去ってしまいました。
今日は、彼の誕生日です。
彼が亡くなって、もう14年。
毎年、誕生日に彼は、私の元に現れ、ずっと傍に居てくれます。仕事中も家に帰っても。
私には愛する家族がいます。
けれど、今日だけは彼の事を想っています。
今でも、彼の手の温かさや大きさ、声、忘れていません。今日も耳元で「傍にいるよ」と。
毎年、彼が現れるのは一日だけ。
彼は、一年に一度の私の恋人なのです。