引用:リサ・レネイ Splitting - Ascension Glossary
「分裂」は、一般的によく見られる自我の防衛機制です。
分裂は、白黒思考・ゼロヒャク思考とも呼ばれ、自分や他人のポジティブな性質とネガティブな性質という対立する2つの部分を、一貫性のある現実的な全体として受け入れることができない人の破壊的な思考のことです。
多くの場合分裂は、人が自分の信念や認識を変えなければならないという内面のプレッシャーが限界に達し、そのために大きなライフスタイルの変化が必要になった時に、認識の変化に対応するという段階を踏む事を避けた時に発生します。
そこで、その不快な状況を受け入れる為に、最も快適な方法で認識を継続する為に、誤った認識や偽の物語、あるいは自己正当化を作り出すのです。
このような分裂行動は、精神的の断片化の結果であり、痛みや恐怖に対処したくないという気持ちを補うためのものです。
分裂とは、たとえそれが真実で正確であっても、その信念に反する証拠を無視しながら、自分が見たり、聞いたり、対処したいと思っているものをマインドの中で区分けするプロセスです。
分裂により、信念・行動・対象、又は人物を、そのポジティブ又はネガティブな属性に分類することによって、善と悪に分離もしくは二極化するのです。
状況を単純化して図式化することで、特定の状況や状態の複雑さを把握できないことから生じる不安を拡散し、それによって考えやすくします。
また、自分と同じ意見や価値観を共有しない全ての人を悪者に仕立て上げることで、自分が善良で高潔な人間であるという自己意識を強化するのです。
一方で、このような相反するものを区分化すると、現実の描写が明らかに歪められ、思考や感情の範囲が制限されます。
それはまた、人間関係を引き寄せて維持する能力にも影響しますが、それは厄介で消耗するだけでなく、友人や恋人に対してある時は理想化し、別の時には悪徳の権化として考えるため、それを行ったり来たりして、相手に対するイメージが簡単に反転する可能性があります。
分裂はグループ単位でも起こり、自分が属しているグループのメンバーは大部分がポジティブな属性を持っていると見なされますが、他のグループのメンバーはほとんどがネガティブな属性を持っていると見なされます。
この現象は集団思考と、実際には、外国人排斥の柔軟性のない態度の一因となります。
外国人恐怖症とは、見知らぬ人や馴染みのない人に対する強烈又は不合理な嫌悪感や恐怖心を抱くことです。
分裂は人間関係を不安定にします。
というのも、自分の欲求を相手が満たしてくれるかどうかによって、相手を理想の人物であると見なしたり、相手を悪者であると見なすからです。
これは、自己の経験や評価における同様の変動ももちろんのこと、混沌とした不安定な人間関係のパターンやアイデンティティの拡散、気分の変動につながります。
それを治療しようとするセラピストもまた、患者から全てが善である、又は全てが悪であると見なされるようになるので、治療過程でもこのような変動によって大きく阻害される可能性があります。
治療結果へ悪影響を及ぼすのを避ける為には、セラピストによる絶え間ない解釈が必要です。
分裂は、不安定な人間関係や激しい感情体験の一因となります。
思春期に起こる分裂は珍しくありませんが、一過性と見なされています。
分裂は、特に境界性パーソナリティ障害と診断された人に見られます。
弁証法的行動療法に基づく個人およびグループ、及びカップル向けの治療戦略が開発されています。
また、マインドフルネスや感情のコントロールなど、関連するトピックに関する自己啓発本もあり、分裂の結果に苦しむ個人に役立っています。
自己愛性パーソナリティ障害の診断基準に当てはまる人は、主な自我防衛機制として分裂を使用します。
多くの場合、自分自身を正しくて立派な人間であると認識しており、自分の意志や価値観に従わない他者を邪悪で卑劣な人間として認識することにより、自己肯定感を安定させ、自尊心を保とうとします。
彼らの倒錯した権利意識と分裂は、心理的にも実際的にも、特定の目的の為に推進され、共同体としての有益なプロジェクトの崩壊を促進することができます。
分裂という認知的習慣により、理想化と脱価値化といった他の関連する自我防衛メカニズムも使用されます。
これは自己愛的な怒りや自己愛的な傷に対する予防的な態度や反応です。
鬱病では、誇張された白黒思考は、自己強化的なネガティブエゴのサイクルを形成する可能性があります。
繰り返しや強迫観念は、ぐるぐる回るにつれてループし、ループする度により激しくなるので、感情増幅器と呼ばれることがあります。
典型的な白黒思考とは、
- 私の努力は成功するか、惨めに失敗するかのどちらかです
- 私は/他人は、全て良いか、全て悪いかのどちらかです
- あなたが私と一緒にいないのなら、あなたは私に反抗しています