からん、ころん。 幻の音。
勝負が始まった時から、軽妙に鳴り響いていた。
彼は、その音を聞いた時から今に至るまでの年月を、そっと胸中で
数えてみた。
二十二年間。
囲碁打ちから改暦の命をうける。
新暦の誕生に、挑んだ若き渋川春海の軌跡
[登場人物]
*主人公 : 渋川 春海(しぶかわ はるみ) 安井 算哲 (やすい さんてつ、囲碁打ち名)
保井 算哲(やすい さんてつ、晩年の名)
* こと(春海の先妻) *えん(春海の後妻)
*協力者 : 関 考和(せき たかかず、算術家) 安藤 有益(あんどう ゆうえき、勘定方、算術家)
山崎 闇斎(あんさい、神道家) 建部 昌明(たけべ まさあき、観測隊長)
伊藤 重孝(しげたか、観測隊医師) 島田 貞継(さだつぐ,算術家)
* 囲碁衆 : 安井 算知(さんち、義兄) 本因坊 道策(どうさく)
* 酒井 忠清(老中酒井) * 保科 正之(徳川家大老) *村瀬 義益(礒村塾、算術家)
* 水戸光国公
[内容](ネタばれあり)
将軍様の前で「御城碁」(おしろご)を打つ、碁打ち衆の渋川春海。
算術、星が好きで、碁以外にも、それらをたしなんでいた。
碁打ち勝負の世界に、張り合いを見出せない事を老中酒井に、本音を吐露してしまう。
乾いた勝負から抜け出し、本当の勝負、改暦の命への任につくこととなる。
そこで、紆余曲折ありながらも、ひたむきにつき進んでいく…
長い長い戦いの末、新暦を生み出した渋川春海の軌跡が描かれている。
柔らかい人物像である春海だけれど、勝負を渇望するところは、根っからの勝負師のような印象を
受けました。誰でもそういうところを秘めているのでしょうか。
今の暦に通じている、その暦を最初に定めた、凄い人がいたと知る事ができました。生みの苦しみが
あるからこそ、今の私達が、快適に過ごしていけるのだと感謝したいと思います。
幸福だった。
この世に生まれてからずっと、ただひたすら同じ勝負をし続けてきた気がする。
ーと、いう冒頭の文章が、いい感じです。
Tow Ubukata
