タイトル
プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング(原題:The Princess Diaries 2: Royal Engagement)
概要
2004年のアメリカ映画
上映時間は113分
あらすじ
大学を卒業したミアがジェノヴィアの国に帰ると、議会に甥のニコラスに王位継承権があると主張するメイブリーが現れた。議会の取り決めにより女性が王位を継承するためには結婚しなければならず、ミアは結婚相手を探すために30日の猶予を与えられ…。
スタッフ
監督はゲイリー・マーシャル
音楽はジョン・デヴニー
撮影はチャールズ・ミンスキー
キャスト
アン・ハサウェイ(ミア)
ジュリー・アンドリュース(クラリス・レナルディ女王)
ヘクター・エリゾンド(ジョー)
ヘザー・マタラッツォ(リリー)
クリス・パイン(ニコラス・デヴロー卿)
カラム・ブルー(アンドリュー)
ジョン・リス=デイヴィス(メイブリー)
ラリー・ミラー(パオロ)
キャロライン・グッドール(ヘレン)
感想
前作から3年ぶりに製作されたシリーズ2作目は、前作に及ばなかったものの全世界で1億3千万ドルを売り上げた。クリス・パインは本作が長編映画デビュー作。
製作自体は前作から3年後だが、映画内の設定では5年後になっており、主人公ミアは21歳を迎える。前作のダイジェスト風映像と共に前作に登場した脇役たちのその後がさらっと描かれる。
前作のラストで結ばれたマイケルはバンドのツアーで忙しく良き友人であると明かされる。じゃあ前作のあのキスは何だったのという話になる。続編の冒頭で前作の物語をぶち壊しにしていないか。この時点で多くの観客の気持ちは離れていってしまったんじゃないかと思う。
ちなみに、前作でマイケルを演じたロバート・シュワルツマンは本当にバンドのツアーで忙しく本作への出演を辞退したそうだ。もし仮に彼が出演していたら物語は変わったんだろうか。それとも彼が出演しようとしまいとマイケルはミアの良き友人という設定だったんだろうか。それはもう分りかねるが本作はスタートの時点で大失態を犯している。
本作はアメリカの大学を卒業したミアがジェノヴィアに帰国するところから始まる。すると、議会が開催され独身のミアには王位継承権がなく、結婚までに30日間の猶予が与えられ、さらにもし期限内にミアが結婚できなければメイブリーの甥ニコラスに王位を継承するというのだ。ここでクラリスはなぜ男性は独身で王位を継承できるのに女性は結婚していなければならないのかと意見するが聞き入れてもらえず、ミアは落胆する。クラリスは女王なんだからここでもっと頑張るべきじゃないかね。
それでもミアは父親の言葉を思い出して女王になるために婚約者探しを始める。ついさっき「恋がしたい」と言っていた彼女はどこへやら。すると候補者の写真が次々と画面に映し出され、アンドリューという男が候補に浮上する。一方のメイブリーは甥のニコラスを刺客としてミアのもとへ送り込む作戦に出るが、ミアはアンドリューと出会って1週間で婚約することになる。
ニコラスは嫌な奴だが気になる奴、アンドリューは好青年だがあくまで印象は薄くという感じで物語は進んでいく。こうなりゃミアとアンドリューが結婚することはないんだろうなと多くの観客は察するわけだがそこに至るまでに何かが前進した印象はまるでない。妨害工作を企てるメイブリーもミアが式典で乗馬する時におもちゃの蛇で馬を驚かせミアに恥をかかせるという謎の行動に出る。それでミアの結婚妨害に繋がると本気で思っているのか。もしメイブリーがミアの結婚妨害を企てる悪役として登場させたのなら最後までその姿勢は一貫しているべきだが、そのための行動がまるで伴っていない。
ミアはアンドリューと婚約したのに会うのはニコラスばかりになっていき、ついに外で夜を過ごすことになる。すると、湖のボートに隠れていたカメラマンがその様子を収めており朝のニュースでスキャンダルとして報じられてしまい、ミアはニコラスが仕組んだ罠だと思ってニコラスに冷たく当たってしまう。こんな軽率な行動を取ったミアにも責任はあるはずなのに、「私は悪くない。罠を仕組んだニコラスが悪い」みたいに思っているのは最悪だ。これじゃ観客の支持は得られないし、ジェノヴィア国民から愛されないぞ。
そしてミアとアンドリューは話し合うことになる。するとお互いがお互いを愛していないことを確認するが、約束したことだから結婚式を予定通り行おうという話になる。ここでミアとアンドリューが下す決断も意味が分からん。少なくとも好青年のアンドリューが奔放なミアに惹かれる要素がまるでないわけだし、いかにも貴族育ちっぽい彼がミアと合うとも思えない。これは逆の立場から見てもそうだ。
ついに結婚式当日。バージンロードを歩いている途中でミアはその場から逃げ出し、アンドリューと話し合って結婚式を中止にすると言い出す。そして未婚のままでもクラリスが女王としてやってきたのだから私にもできるはずだと主張する。参列した議員が賛成したことで未婚のままでも女王になって良いよという感じになる。すると、メイブリーが黙っているわけもなくニコラスが王位を継承すると語気を強めれば、ニコラスはそれを辞退すると言ってその場は収まることになる。
もし未婚のままでも女王になることに議員が賛成するのなら冒頭でクラリスが主張した際に認めたら良いじゃないか。なぜ冒頭の時点で議員たちはクラリスの主張を聞き入れず、メイブリーの意見を優先したのか。前作もやや心配な側面のあったクラリスだが、冒頭の時点でもっと戦えよな。クラリスの頑張りが足りないから結婚式でやっぱり取りやめという最悪の形になったんじゃないか。ミアはアンドリューと婚約したのだからその行動にはもっと責任を負うべきだと思うわ。アンドリューにも彼の家族にも失礼なことをしているわけだし、少なくとも彼らにもっと真摯に向き合う場面は入れるべきだった。これだとミアが軽薄な人間に見えてしまい、この状態で彼女を女王にして大丈夫かと観客に思われてしまうぞ。
それからここでニコラスがミアと結婚するという結末にならないだけマシだと思っていたが、エピローグでニコラスがミアに事実上の告白をする場面があり、その告白を事実上ミアが受け入れるみたいな場面が用意されている。これじゃミアがアンドリューとの結婚式を途中で取りやめてニコラスと結婚することになりましたっていうオチとそんな変わらんぞ。ニコラスだって知り合ってたかだか30日程度じゃないか。ミアにとってアンドリューがどれだけ好青年であっても会って楽しいのはニコラスだろうな。それは分かる。じゃあそれが結婚相手にふさわしいのかって話だ。これじゃミアは見る目がないって話にもなってくる。やっぱり彼女は女王の座を辞退した方が良いんじゃないの。
あと、本作は親友のリリーとか母親のヘレンとか登場する必要性をまるで感じないし、母親のヘレンと再婚相手との間に子供が生まれたとかそんな設定もいるかな。メイド二人組が良い味出していたんだからミアの話し相手としてリリーを登場させるんじゃなくて、メイド二人組にその役割を担わせるとかでも良かったと思うな。
冒頭から前作のオチをまるでぶち壊しにした続編。物語の結末も到底納得できるものではなかった。続編で失敗する典型例。
関連作品
「プリティ・プリンセス(2001)」…シリーズ1作目
「プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング(2004)」…シリーズ2作目
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予告編
吹替情報
・ソフト版
配信関連
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/ギリシャ語/フランス語/スペイン語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹替
ソフト関連
<DVD>
言語
├オリジナル(英語/ギリシャ語/フランス語/スペイン語)
├日本語吹替
音声特典
├ジュリー・アンドリュース(出演)、ゲイリー・マーシャル(監督)による音声解説
映像特典
├未公開シーン
├NGシーン集
├ゲーム&アクティビティ
├製作の舞台裏

