【タイトル】
ヴァン・ヘルシング(原題:Van Helsing)
【概要】
2004年のアメリカ/チェコ合作映画
上映時間は131分
【あらすじ】
ヴァン・ヘルシングはバチカンでドラキュラの抹殺とヴァレリアス一族を救う命令を受けて、相棒のカールとともにトランシルバニアへ向かう。
【スタッフ】
監督/脚本/製作はスティーヴン・ソマーズ
音楽はアラン・シルヴェストリ
撮影はアレン・ダヴィオー
【キャスト】
ヒュー・ジャックマン(ヴァン・ヘルシング)
ケイト・ベッキンセイル(アナ)
リチャード・ロクスバーグ(ドラキュラ)
デヴィッド・ウェナム(カール)
【感想】
当初はシリーズものとして計画されていたが、想定ほどヒットせず批評家からの評価も芳しくなかったことから公開されてすぐにその計画は中止になった。
冒頭のモノクロの映像が最もらしい映像だと感じる。このテイストを期待すると映画的な現在からはいかにも作り込まれたCG満載の映像に切り替わっていく。スティーヴン・ソマーズ監督は「ハムナプトラ/失われた砂漠の都(1999)」が成功したことを受けて、ゴシックホラーの名作「ドラキュラ」に関する物語の映画化を実現させたのだろう。
冒頭こそ主人公のヴァン・ヘルシングが活躍する様子をサラッと描くべきだったんじゃないだろうか。というか、ジキルとハイドとの戦いは後の展開に何の関係もないのだからなくても良かった。
その後のカールから武器をもらうシーンは「007」シリーズみたいである。ちなみに、当時ピアース・ブロスナンの後任ボンドの候補に挙がっていたのがヒュー・ジャックマンである。まるで「007」シリーズに出演したことを想定して練習がてら演じているようにさえ思える。その観点で振り返ると、アナはどう見てもボンドガールだな。場面によっては敵でもあり、味方でもあるというグレーな存在である。
また一方でアナらの様子も描かれる。狼男を捕まえる場面では狼男が檻に入った状態で吊るされると下にいた男たちはその檻目がけて銃をぶっ放す。銀の銃弾を撃ち込まなければならないのだがそんなことはお構いなし。すると、吊るしていたロープが銃弾によって切れて檻が地上に落下してしまう。そして檻が壊れて出てきた狼男にアナは追われ、アナの兄が銀の銃弾を撃つも犠牲になってしまう。下から銃を撃っていた男たちはアホなのか。檻の近くにはアナの兄がいるわけだし流れ弾が当たるかもしれない。ロープに当たったら檻が落ちるかもしれない。そんなことも分からんのか。以降こいつらは登場しない。後にアナの兄は狼男に化けて登場するのだが、この男たちはその展開のためだけに用意されたキャラクターである。監督であり脚本も執筆しているスティーヴン・ソマーズに期待するのは間違っているのだが。
ヴァン・ヘルシングが実際にドラキュラに会うくらいから物語の勢いもなくなっていく。せっかく念願の顔合わせなのにイマイチ盛り上がらない。いかんせんそこに辿り着くまでが長過ぎるんだわ。本作に131分も必要な要素はなかっただろう。エンドクレジットが10分くらいあるので実質120分程度だが、それでも長いわ。
本作のようなテイストの作品にヒロインの死を用意する必要はあっただろうか。アナの死、悲しむヴァン・ヘルシングなんかを急に見せられてもなぁ。別にヴァン・ヘルシングとアナのドラマなんてまともに描かれていないし、お互いの命を本気で守ろうとするほどの関係になっていたとも思えない。これだったらもっとライトなオチを用意しておけば良かったと思う。
もっとわかりやすくシンプルな物語に出来なかったものか。ドラキュラ伯爵と因縁のあるヴァン・ヘルシングがアナと協力しながらドラキュラ伯爵にお仕置きするとかそんなんで良かったと思うぞ。ましてCG全開のアクション映画に仕上げているんだから。
ヴァン・ヘルシングを主人公にこういうテイストはなしではないと思うが、ゴシックホラーにしてもアクションにしてもアドベンチャーにしても中世の歴史ものにしてもそのどれもにかすっていない感じである。万人受けを狙った中途半端な映画になるくらいなら、どこかの方向にぶっ飛んでいた方がまだ印象が良い。
あと、ケイト・ベッキンセイルも同時期の「アンダーワールド(2003)」に比べて魅力的に撮られていない。アクションもなんかもっさいし。せめて彼女はカッコよくそして美しく描くべきでしょ。
【関連作品】
「ヴァン・ヘルシング(2004)」
「ヴァン・ヘルシング アニメーテッド(2004)」…本作に合わせて製作されたアニメーション映画
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/ラテン語/ペルシャ語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え版
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語/ラテン語/ペルシャ語)
├日本語吹き替え版
音声特典
├スティーヴン・ソマーズ(監督)、ボブ・タクセイ(編集)による音声解説
├リチャード・ロクスバーグ、シュラー・ヘンズリー、ウィル・ケンプによる音声解説
映像特典
├VAN HELSING 伝説へのアプローチ
├VAN HELSING MAP
├視覚効果技術
├VAN HELSINGの舞台裏
├VAN HELSINGと音楽
├NGシーン
├ドラキュラ城の撮影セット
├仮面舞踏会シーン:撮影の舞台裏
├VAN HELSING アートギャラリー
├秘蔵映像集
<4K Ultra HD+BD>
収録内容
├上記BDと同様