【タイトル】
メリーに首ったけ(原題:There's Something About Mary)
【概要】
1998年のアメリカ映画
上映時間は119分
※完全版は130分
【あらすじ】
高校時代に憧れのメリーとプロムに行く約束まで取り付けたのにトラブルで中止となったことが忘れられないテッドは、13年経った今、怪しげな探偵ヒーリーにメリーについて調べてもらうことにする。
【スタッフ】
監督はファレリー兄弟
音楽はジョナサン・リッチマン
撮影はマーク・アーウィン
【キャスト】
キャメロン・ディアス(メリー)
ベン・スティラー(テッド)
マット・ディロン(ヒーリー)
リー・エヴァンス(タッカー/ノーマン)
クリス・エリオット(ドム)
【感想】
ファレリー兄弟は「キングピン/ストライクへの道(1996)」がうまくいかず、次の映画が最後になるだろうと決心して撮った本作は、予想を遥かに上回る大ヒットを記録した。ちなみに、当時キャメロン・ディアスとマット・ディロンは交際していた(後に破局)。
この作品を期に多くの模倣を産んだお下品ラブコメ。障害者だろうが動物だろうが、今までの映画で普通に描かれていたのと同じように描いている。見ている人によっては気分を害するだろうが、とにかくハチャメチャで痛快。特に冒頭のアレを挟むシーンや、「Hair Gel?」の場面はコメディ映画史に残る名場面となった。
そんな本作をここまでの作品に仕立て上げたのも、メリーを演じたキャメロン・ディアスの魅力によるところが大きい。「マスク(1994)」で鮮烈なデビューを飾ったキャメロン・ディアスも以降はこれといった作品もなかった。そんな中で、美人で優しくて下ネタOKでスポーツ万能で頭も良くて…というキャラクターを嫌味なく魅力たっぷりに演じている。「こんな女性はいない!」という一部の声もあるが、仮にこんな女性が現実にいなくたって良い。かつての恋愛映画だって信じられないくらいの美人がいくらでもいた訳だし、美人が美男以外の男性と付き合わないなんてこともない。それにこれはラブコメという映画である。
そんなメリーを取り合うべく4人の男たちが集結する。ベン・スティラーは得意の可哀想なキャラクターを演じ、マット・ディロンは今までにない頭の悪いチンピラを演じ、リー・エヴァンスとクリス・エリオットも十分な存在感を示した。ラストにはかつてメリーと付き合っていたというブレット・ファーブという男が現れる。このブレット・ファーブはNFLで前人未到の3年連続MVPを受賞したスーパープレイヤーである。ただ、顔も演技もプロの俳優の中に溶け込むと、このブレット・ファーブなる男でも普通の男に見えてしまうところが映画のマジックにも感じるし、だからこそラストでベン・スティラー演じるテッドとメリーが結ばれて終わるところに納得できるものもある。
そんな2人が結ばれる中、後ろで歌っている男が撃たれて映画が終わる。結ばれるべき2人が結ばれるという王道の結末かと思いきや、今まで映画の中で歌っていた男が撃たれるというオチは当然驚くことだろう。映画的には、もう2人が結ばれてそれで十分なのに背後で歌っているのは邪魔だと言わんばかりでもある。
そして、エンドロールと同時にキャスト等によって「ビルド・ミー・アップ・バターカップ」が歌われる。映画の冒頭から登場したキャストが演じた場面などで楽しそうに歌って踊っている。もしこの演出がなければ、歌手が撃たれて終わりだときつかったかもしれない。ただ、やはりこれは映画である。この楽しい映画を撮影している風景が楽しければ笑顔で映画館を後にすることができる。
どうしても海外のコメディは言語が分からないと面白さが伝わらないものばかりだが、本作に限ってはシチュエーションや動きだけでも十分に笑える。監督やキャストにそれぞれにとっての代表作だろう。
【完全版】
劇場公開版に未公開シーン11分を追加した完全版。日本では「もっと過激に全開バージョン」や「エクステンデッド版」とも表記される。基本的に何かのギャグシーンが追加されているだけであり、好きな人なら見ても良いのではないだろうか。
【音声解説1】
参加者
├ファレリー兄弟(監督/脚本)
ファレリー兄弟による対話形式の音声解説。どうすればギャグが受けるのかを編集によって工夫した話、映画会社から反対されても試写でウケたことでそのまま公開された箇所の話、監督の友人や家族などの関係者がどこに出演しているかの話、キャメロン・ディアスの笑顔を引き出すためにエキストラに言わせたこと、ラストで銃で狙われるテッドはベン・スティラーの代役である話などしてくれる。また、一度収録した音声解説に対して、映画会社からさらにコメントするように求められ、2002年に追加収録されたものである。音質や声質で追加収録された箇所は何となくわかるだろう。
【音声解説2】
参加者
├エド・デクター(原案/脚本)
├ジョン・J・ストラウス(原案/脚本)
上記2名による対話形式の音声解説。1988年に脚本が完成し、映画会社に売ったがなかなか映画化される気配がなく、自分たちで脚本を買い戻し、かつて脚本を見せたことのあるファレリー兄弟の手に渡ってから1年後には映画化になったという話、歌手や犬、あの「ヘア・ジェル」に関する場面の話、当初の脚本から書き直しを相当に余儀なくされた話、2人から見たファレリー兄弟の評価の話などを聞くことができる。見れば分かるキャラクターの行動などをそのまま話す箇所もいくつかあるが、興味深い話を聞くことができる。
【関連作品】
「ハロルドとモード 少年は虹を渡る(1971)」…メリーが好きな映画でこの映画を挙げる。
取り上げた作品の一覧はこちら
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
映像特典
├オリジナル劇場予告編
├メイキング
├カラオケ
├ミュージック・クリップ
├キャスト・バイオグラフィ
<DVD(もっと過激に全開バージョン)>
本編
├劇場公開版
├完全版
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典(劇場公開版/3種)
├ファレリー兄弟(監督/脚本)による音声解説
├ファレリー兄弟(監督/脚本)によるもうひとつの音声解説(メニューから個別に選んで見るセグメント/コメンタリー音声のみ)
├エド・デクター、ジョン・J・ストラウス(原案/脚本)による音声解説
音声解説(完全版/2種)
├ファレリー兄弟(監督/脚本)による音声解説
├ファレリー兄弟(監督/脚本)によるもうひとつの音声解説
映像特典
├もうひとつのオープニング(音声解説付)
<DVD(2枚組/もっと過激に全開バージョン)>
本編
├劇場公開版
├完全版
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典(劇場公開版/3種)
├ファレリー兄弟(監督/脚本)による音声解説
├ファレリー兄弟(監督/脚本)によるもうひとつの音声解説(メニューから個別に選んで見るセグメント/コメンタリー音声のみ)
├エド・デクター、ジョン・J・ストラウス(原案/脚本)による音声解説
音声解説(完全版/2種)
├ファレリー兄弟(監督/脚本)による音声解説
├ファレリー兄弟(監督/脚本)によるもうひとつの音声解説
映像特典(Disc1)
├もうひとつのオープニング(音声解説付)
映像特典(Disc2)
├メイキング・オブ・「メリーに首ったけ」
├「メリーに首ったけ」ができるまで
├おかしな舞台裏
├格闘シーン賞:ベン・スティラー&パフィ
├インタビュー集
├木の上でドッキリ:ジョナサンとトミーのインタビュー
├ソーセージとマメ:W・アール・ブラウンのインタビュー
├タッチダウン・インタビュー:ブレッド・ファーブ
├ルーレット・インタビュー:ハーランド・ウィリアムズ
├パフィとオッパイとタママタ
├マグダの秘密調査
├世界中のメリー
├メリーに首ったけ:NG&爆笑シーン集
├カラオケ・クリップ
├ミュージック・ビデオ
├各国劇場ポスター集
├オリジナル劇場予告編
<BD>
収録内容
├上記2枚組DVDと同様