【作品#0507】スピード2(1997) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

スピード2(原題:Speed 2: Cruise Control)


【概要】

1997年のアメリカ映画
上映時間は126分

【あらすじ】

ジャックと分かれたアニーは、SWAT隊員であるアレックスと交際していた。仕事中の負傷で休暇をもらったアレックスはアニーとカリブ海豪華クルージングの旅に参加する。

【スタッフ】

監督はヤン・デ・ボン
音楽はマーク・マンシーナ
撮影はジャック・N・グリーン

【キャスト】

サンドラ・ブロック(アニー)
ジェイソン・パトリック(アレックス)
ウィレム・デフォー(ガイガー)

【感想】

大ヒットした前作「スピード(1994)」の続編にあたる本作は、前作の5倍以上の予算がつぎ込まれたが、前作の半分にも満たない1億6千万ドルのヒットにとどまり、ラジー賞では8部門でノミネートされ、ワーストリメイク・続編賞を受賞するなど酷評された。また、終盤に豪華客船が港に衝突する場面では前作の予算に近い2,500万ドルを要している。監督のヤン・デ・ボンは前作を監督した際の契約で続編を作る場合の監督をすることも契約に入っていたため本作を監督することになり、前作で主演したキアヌ・リーヴスは、脚本が気に入らずに続投しなかった。ちなみに、前作でマーク・マンシーナが作ったメインテーマのアレンジを小室哲哉が行っており、エンドクレジットが始まるタイミングでしっかり聞くことができる。

キアヌ・リーヴスが出演しない、タイトルにあるスピードが表現できない豪華客船が舞台という時点で前作の続編として製作すべきではない作品であったと感じる。しかも、前作でバスの運転を担ったアニーは本作でほとんど騒いでいるだけで何かの大役を任されることもない。また、キアヌ・リーヴスの事実上の後釜と言えるジェイソン・パトリックにあまり華がなく、やや荷が重かったか。

犯人のガイガーは、豪華客船のシステムなどを構築したエンジニアだがクビになったことの腹いせに船の爆破と宝石泥棒を行うことになっている。仮にクビになったことの腹いせだったとしてもわざわざ顔を明かしてまで犯行を続ける意義は感じない。にしてもウィレム・デフォーの悪役ぶりは見事である。特にアレックスを閉じ込めた場面で窓越しに笑みを浮かべる表情は最低で最高である。

豪華客船内でのアクションは「ポセイドン・アドベンチャー(1972)」を思わせるものもあるが、そこまでのオリジナリティは感じない。避難用のボートの一連の場面は、前作の冒頭のエレベーターのシーンに重なるが、緊張感もないし、アクションにあまり理屈もないし、テンポも良くないので中盤の一番の見せ場にしてはえらく残念なシーンである。

豪華客船が港に突っ込むところまで、船にもそれから映画にもあまりスピード感を感じなかったが、モーターボートでセスナ機を追いかけるところでようやくちょっとだけスピード感が出てくる。ちなみにこのモーターボートを好き勝手に使われる男は、前作「スピード(1994)」でキアヌ・リーヴスにジャガーを乗っ取られた男である。もし同じ男を使うなら、割と映画の序盤にまたしても不運に見舞われるキャラクターとしてちょっと出すくらいの方が面白かったはず。

また、ガイガーはセスナ機で逃げるだけという状況になったのなら人質として捕まえていたアニーをわざわざセスナ機にまで乗せる必要はなかっただろう。どうもアクションシーンを優先しておかしなことになっている。それに、ガイガーはセスナ機のコントロールを失い、先程豪華客船との衝突を回避したタンカーに乗り上げ、セスナ機の燃料漏れからタンカーごと大爆発を起こしてしまう。このセスナ機の爆破のCGが安っぽいし、何と言ってもタンカーが可哀そうすぎるわ。この爆破は前作「スピード(1994)」でバスがジャンボジェットに突っ込んで爆破するシーンへのセルフオマージュみたいなものだろうが、いくら何でもやり過ぎだと思う。

それからメインキャスト3人以外のキャラクターがあまりにも薄すぎる。被害に遭う人も主人公に協力する人も誰もが映画鑑賞後に顔を覚えていないほどである。ちなみに、カメラマンとして乗船したダンテという男は、危機的な状況でも写真を撮っていたのにそれが何の意味もなしていなくて、まるで無視されているようで可哀そうだった。本作がコメディとして着地しているなら、エンドクレジットに入ったタイミングでダンテの撮った写真をスライドショー形式で流したら良かったんじゃないの(笑)!?

繰り返しになるが、「スピード(1994)」の続編として本作を作るべきではなかった。ただの海洋パニックアクションなので、他にスピード感の出る乗り物なり物語を考えるべきだった。あの「スピード(1994)」の続編だから酷評されたのであって、それを差し引けば出来の悪いアクション映画というところだろう。

【関連作品】

スピード(1994)」…シリーズ1作目
「スピード2(1997)」…シリーズ2作目

「ロリータ(1961)」…劇中にテレビでこの作品が放映されている。
「眼下の敵(1957)」…劇中にテレビでこの作品が放映されている。「ドイツの潜水艦の艦長を演じた俳優は誰か」との問いに「クルト・ユンゲルス」と答える場面があるが、これは「クリムゾン・タイド(1995)」でも同様の場面がある。



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【ソフト関連】

 

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言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

映像特典

├オリジナル劇場予告編

 

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映像特典

├オリジナル劇場予告編(2種)

 

【音楽関連】

 

<CD(サウンドトラック)>

 

収録内容

├14曲/70分