【作品#0329】ザ・ファン(1996) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ザ・ファン(原題:The Fan)

【概要】

1996年のアメリカ映画
上映時間は117分

【あらすじ】

ジャイアンツに移籍してきた強打者ボビー・レイバーンのファンであるギルは、別れた妻から息子への接近命令を受け、会社からは解雇されてしまう。さらに、ボビーが不調に陥ると、その不調の原因がライバルのプリモであると考える。

【スタッフ】

監督はトニー・スコット
音楽はハンス・ジマー
撮影はダリウス・ウォルスキー

【キャスト】

ロバート・デ・ニーロ(ギル・レナード)
ウェズリー・スナイプス(ボビー・レイバーン)
エレン・バーキン(ジョエル)
ジョン・レグイザモ(マニー)
ベニチオ・デル・トロ(プリモ)

【感想】

元々ギルを演じたかったウェズリー・スナイプスにとって野球選手を演じるのは「メジャーリーグ(1989)」以来となった。また、本作の監督を断っていたトニー・スコットはロバート・デ・ニーロがキャスティングされたことを受け、「ザ・ロック(1996)」の監督を断ってまで本作の監督を務めている。

ギルとボビーはともに完全主義で、2人が共通する性格を有するキャラクターであることを示しているように見えるが、ボビーは完全主義なんかではない。そもそも完全主義の人間が自ら「俺は完全主義だ」なんて言わないわけで、ボビーは結構適当な人間である。ギルはボビーと自分が同じような人間であると思い込んでおり、彼らが出会ってからギルがボビーとの間にギャップを感じ始めてから今まで以上におかしくなっていく。

また、ギルは熱狂的な野球ファンで、自分と同じく完璧主義と考えるボビーを応援している。車が故障したら直すように、自分の応援するボビーが不調になると直したくなってくる。そしてついにボビーのチーム内ライバルのプロモを殺してしまう。あんなに簡単に殺せてしかもバレないっていうのはあまりにもご都合主義的である。

そして、ギルはボビーの自宅周辺をうろうろし、溺れそうなボビーの息子を助けたことで彼らに交流が生まれる。完全主義でファンを大事にしていると思っていたボビーがそうではないとギルは完全に気付いてしまう。ただそうだと思い込んでいただけなのに、違うと分かると裏切られたような気分になるという身勝手さ。

ラストでギルが審判のふりをして出てくるが、これはやりすぎだと思う。いつどこで審判を(おそらく)殺して、着替えて出てきたんだ。驚きや恐怖よりも、ツッコミの方を優先せざるを得ない状況になっている。

また、DJのジョエルとボビーのマネージャーであるマニーは本作に必要なキャラクターだっただろうか。いかにも後からくっつけた飾りのようなキャラクタだった。このキャラクター達も排除して、もっと主役の2人の内面や齟齬が生じることでのドラマを描けたとは思う。

とはいえこの映画はデ・ニーロのためのもの。こんな男がナイフの営業をやっているなんて狙い過ぎだとは思うが、偏屈なヤバい中年親父をデ・ニーロが見事演じている。ギルは現代に転生していたら、SNSで脅迫などするようなヤバい人間なのだろうと想像はつく。話の通じないヤバい相手には何をやっても通用しない。高評価こそできないが、デ・ニーロのおかげでまずまずの作品にはなっていると思う。

 

 

 

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